吉野川水系 2020/9/22 晴れ
数年前の話
源流の二又を前にして先行車が1台止まり、年配の方と若者が既に入渓の準備をはじめていた。
まさか二又両方を釣ることはないだろうと勝手に思いながら
「どちらを釣りますか?」と尋ねたら
年配の方が横の谷を指さしながら「二又手前の支流を釣る」と意外な返事が返ってきた。
さらに谷の入り口までの傾斜がキツいからロープ2本を掛けて下るのだと付け加えてくれた。
正面に支流があることは知っていたがこの危険際わりない急斜面を下り、しかも二人で入渓する価値があるようには思えなかった。
それより、後から来たのに源流二又の選択権を得られたことが喜ばしかった。
何年か経ち、ロープを2本掛けまでして入渓する支流とはどんな谷なのか?
気になるようになった。
地図を見るとその支流は思っていたより長かった。
そして、少し上流にある反対方向から流れ込んでいる緩い支流を下り上流から回り込めばロープを掛けるような危険な思いをしなくても支流の入り口に立つことが出来るとルートを割り出し釣査する計画を立てた。
反対支流の谷尾根を下る。
支流が伸びている分尾根の傾斜は緩く地形図で想像したとおりだった。
尾根を下る途中、水量が少ないけど雰囲気が良さそうな滝が見えたので谷に降りて竿を出した。
落ち込みの中でアタリがあって強い引き、薄暗い内で竿を絞り浅瀬をユラユラ泳ぐ魚体は幅広だったので「もしかしたら尺あるんじゃない」と皮算用したが2cmも足りなかった。
『小支流を侮ってはいけない!!』と車道近くまで釣り上がったけどアタリがあったのは写真の9寸だけだった。
まぁ、世の中そんなに甘くはないよね。
目論見通り労せず支流の入り口に立つことができた。
支流の入り口には如何にも釣れそうな滝なのだがアタリがない。
次に砂防エンテの淵、ここもアタリがなかった。
砂防エンテを越えるたらその上に何基かの砂防エンテが見えている。
エンテの谷・・・・これは渓の選択をミスったかも知れないと思えてきた。
竿が出せるのはエンテ下の水溜まりだけでザレた斜面を高巻いたら次のエンテが待っている繰り返しなので精神的に疲れる。
数は少ないが釣れないこともないから初心を通し釣査を続けた。
右斜面の崩落現場を通り過ぎると砂防エンテがなくなり渓は本来の流れを取り戻したが水量が少ないなぁと思っていたら水が伏流してなくなった。
水のない谷を二又まで行ってみると右又の水が少し復活したが釣りになりそうもない水量なので納得して納竿した。
『もしかしたら・・・・』なんて思いあったけど渓の選択ミスを察知した時点で見切りを付けておけば良かった。
慣れない本流で竿を出したが全く相手にされず一旦車道に出て源流を釣ることにした。
チョット欲が出て車道下の二又から釣り上がり車道の橋まで来たら車止めに釣り人らしい車が止まっていたので先を越されたのかと心配していたがまだ車の中に人がいるようなのでサッサと橋を潜り、取りあえず『先に入りましたよ』主張をしてみた。
もう昼前だし釣り人じゃないのかも知れないと釣りを続けていたら「この渓釣りますか?」と声を掛けられた。
話を聞けばこの谷に入る準備をしていたらしい。
気になっていた渓の釣査が終わり9寸も釣ったことだし渓を譲っることも考えたが今日はもう一つ大きな目的があるので『譲る』とは口に出さなかった。
大滝の高巻きルートはザレて道がなくなってしまった。
数年前の雨の日、この斜面を渡ろうとして足元がズルっと滑った。
転がれば30mの滑落・・・・行こうか?止めようか? 15分悩んだ末引き返した経験がある。
今日は晴れているから足切りをすれば大丈夫だろうと思っていたがロープが張られて安全に通過することができた。
久しぶりに入ったが素晴らしい渓相を再確認した。
14,,998尾目
14,999尾目
祝・15,000尾達成
28年前からカウントしてきた渓流釣り生涯釣果15,000尾を達成した。
前回の釣行で残り12尾になっていたので今年中になんとかなると思っていたが大きな宿題を来年に持ち越さずに済んだ。
他人から見れば「それが何なの・・・・」なんだけど28年、712釣行の積み重ねがこの数字なのでメチャクチャ嬉しい。
次の目標は20,000尾になるが、釣りに行ける年数を考えればハードルが高い。
大物を期待していた滝壺だったが7寸マックスはチョット淋しい。
さて、この滝の高巻きがメッチャ怖い。
ザレ場を這い上がりテラスに取り付く、先細りしてくる足場の段差が1段落ちるときに滝下の全貌が目に入る高度感に足が竦む。
上流部なるにつれ婚姻色に彩られたアマゴが釣れるようになってきた。
美しいアマゴが更に美しく渓流シーズンの終盤が迫っていることを感じさせてくれた。
終盤、渓に傾斜が現れ水流が強いのか1枚岩の淵床が多く見られるようになった。
透明度が高い淵はチビ助が泳ぐ姿は丸見え・・・・大きいのは何処に居るのか?落ち込みの白泡が立った上の段の狭い淵に身を隠しているので分かりやすい。
渓が曲がり渓幅が狭くなった場所に巨木が重なり合い通せんぼになっていた。
近づいてきた林道に出るには斜面が急すぎるし反対の斜面は垂直の岩壁・・・・股下まで水に浸かり正面突破を試みる、
嫌らしそうな感じがした巨木の重なり合いは手掛かり足掛かりとなりジャングルジムを乗り越える要領で突破することができた。
最後の二又まで来ると釣り人がいた。
まぁ、二又まで林道が付いているので釣り人が入るのは仕方ないことかも知れないが、コッチは下流の二又付け根から怖い思いをしながら真面目に釣り上がってきたのだから最後まで気持ちよく終わらせてくれてもいいと思うのが本心だ。
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