巨木と苔の渓を釣る

渓流釣り遡行記2020
渓流釣り遡行記  2020/7/17  晴れ
梅雨明けの時期が見えてきた今日この頃なのだが1ヶ月の降水量が1000㎜を越えた山間の渓はまだまだ水量が多く釣りにならないかも知れないので源流の支流に入ることにした。
この渓は、俺好みの原生林の源流なんだけどある出来事から入渓するのを遠ざけていた。
魚止めまで釣り上がり本流との出合いまで帰ってくると釣りの準備をしていた老夫婦のフライマンが話しかけてきた。
車がなかったのに何であなたがここにいるのか・・・・みたいな話からはじまった。
1日釣るには渓が短いから下の渓の入り口に車を置いて本流を釣り渓に入った と説明した。
「餌釣りやなぁ・・・・」 どうも好意的じゃなかった。
この渓が好きでこの渓しか釣らないが餌釣りが入ると全然釣れなくなる・・・・だんだん興奮してきたのか「餌釣りはこの渓に入ってくれるな!」とも云われた。
まぁ、云いたいことは分かるけど餌釣りもいろいろだし、毎回同じ渓に入ってたんじゃ釣れない時だってあるだろうに・・・・それに3時近くに入渓してする話じゃなかろうに・・・・毛針の人って自の釣りが最善だと思い込み他の釣りは邪道だと思っている人が多いから絡まれると厄介だ。
もう、十数年前の出来事だから老夫婦のフライマンに会うこともないだろう。
水量が多い渓を避け源流の支流に入ったつもりだったがまだまだ水量が多い。
湿気に満ちた空気が苔の緑を際立たせ原生林の深さを気持ちいい空間に仕上げている。歩くだけで楽しくなる渓とはこういう渓だと思う。(少しは釣れることが前提だけどね)

魚影は薄くもなく濃くもなくホドホド、型は6寸クラスが中心で偶に7寸が混じる程度で大物の予感はあまり感じられない。パーマークや朱点はいろいろなタイプが混じり合っているので卵放流が繰り返されていたのかも知れない。

アタリがあるのに針掛かりしない正体は4寸に満たないチビアマゴだった。
餌の先だけ咥えて勢いよく横に走るもんだから反射的に合わせるたら空合わせになり木の枝に仕掛けが絡むシーンが多かった。こんな辺鄙な支流に漁協が稚魚放流しているとは思えないので正当な子孫の継続が出来ているのは喜ばしいことだ。
それにしても8号の針をよく咥えたものだ・・・・たぶん今年最小のアマゴだと思う。


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 上流に向かうにつれ岩や巨木に張り付いた苔の厚みが増し森の深さが濃くなってきた。湿気が多いので獣臭さは薄らいでいるが熊の存在を忘れてはいけない。泥濘んだ地面に怪しそうな足跡を見つけたら周囲を見渡す臆病さも必要なことだ。

緩やかで釣り安かった渓は急に岩肌がゴツゴツ剥き出しになった渓相に変わる。深みのある淵が増えてきたのにアタリは散発的・・・・谷通しの遡行は難しそうなのだがザレた斜面に明確な巻き道があるので釣り人の往来を妨げないのかも知れない。

ゴツゴツした渓相は長くは続かず再び明けた素晴らしい渓になる。

8寸には少し足りないがパーマークが大きく魚体の均等がとれたカッコいい奴、源流の二又近辺のアマゴはこのタイプが多かった。
源流を詰めれば大物が出るかも知れないと思っていたが型が小さくなり終了・・・・結局8寸クラスは出逢えなかったけど巨木と苔の渓は素晴らしかった。

源流部の渓相


帰りは谷通しか登山道を利用するかを迷っていた。
登山道に乗るなら昼飯を食った場所から比較的傾斜が緩い尾根を登るのがベストだと思っていた。上流に進むにつれ等高線の幅が狭まり取り付けそうにない。しかし、標高差を50m以上稼いでいるので登山道までの標高差は100mを切るところまで近づいた。
「無理矢理にでも登ろうか?」
取り付きやすい斜面を探して平行移動しているとなんとか登れそうな谷筋があった。
谷筋を見上げれば壁みたいになっているから登り切ることは出来ない。登れるところまで登り尾根筋に回り込み広尾根に出る作戦を考えた。原生林は樹と樹の間隔が広く一つ一つの木が大きいので立木を掴み急斜面を登ることは出来ないが根っ子が地面を這っているので手掛かり足掛かりになる。谷筋から尾根筋に回り込んでみると隣の渓筋が尾根に吸収されていない・・・・地形図上の極小さな窪みはいつまで経っても読み切れない部分がある。
キツい尾根を登り切ると登山道と合流した。

確かこの登山道はズーッと前から崩落で通行止めになっていたと記憶している。崩落現場に出くわしたら「やばいなぁー」と思っていたけどザレた斜面がいくつかあった。登山初心者なら嫌がるかも知れないが渓歩きになれていれば通過するのは何ら問題は無かった。それよりも巨木と苔の渓を釣った後も原生林の巨木を身近に感じながら帰途につけるなんて何とも贅沢な帰り道なんだろう。

遡行データ
遡行距離:7.8km 標高差:300m 吉野川水系
釣果:34尾 最長寸:23.0cm

YouTubeに動画


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