自粛解除

渓流釣り遡行記2020
渓流釣り遡行記   2020/5/22 晴れ  

緊急事態宣言が解除された。

法的根拠がある自粛って訳の分からないフレーズだった。3密を実践するには人に会うことのない源流は最適な場所だと思っていたのだが、他県をまたぐ移動制限が引っかかり世間一般に蔓延する自粛ムードに流され源流釣りに行くのを控えていた。結果的にはGWを間に挟んだにもかかわらずコロナ感染者数のカーブは減少の一途を辿り底辺に張り付いているので国民的自粛は目的を果たしたのかも知れない。しかし、見た目の感染者数が減っただけで何にも解決していないのが現実、以前と変わりない日々が戻ってくるのは特効薬やワクチンが出回るようになってからだろう。

 

緊急事態宣言が出される前、釣りに出かけたのは4月の半ばだった。山を越えると思いもよらない積雪が谷間に迫り渓に入ることもなく撤退するハメになった。同じ渓を目指したが平日の早朝にもかかわらず先行者の車が止まっていたので次候補の渓の車止めで入渓の準備をしていると同業差らしき車が来てUターンして走り去っていった。人気のない水系なのに俄に騒がしくなってきたのはどういう理由があるのだろうか?

急な坂道を30分ほど歩き入渓した。
入渓してみると、山が荒れている感じでなんか雰囲気がおかしい・・・・最初の滝を越え渓が開けた場所に立つとそれが何であるのか如実にわかるようになった。
斜面に生えている何本もの木が根ごと剥がされ渓に倒れ込んでいた。それに踏ん張って耐えた木も途中からポッキリ折れていた。
想像も出来ない強い風が吹いたのか?

落ち込みは倒れてきた木が塞ぎポイントがなくなり、淵の中央は細かい枝が底に堆積して仕掛けを流すのに油断をしたら直ぐに根掛かりしてしまう。遡行も大変で潜ったり乗り越えたり障害物競争さながらだった。極めつけは大滝の高巻きルートで頼りにしていた大木がおがされ通行不能になり反対側の急斜面に取り付くことを強いられた。

風なら吹いた方向が変わればなんとかなるかも・・・・渓が直角に方向を変える場所までやってきたがここからの方が巨人が木をなぎ倒しながら渓を歩いたって感じで余計に酷かった。
倒れた木には葉が付いているので若葉が芽吹きはじめた以降ならつい最近の出来事なのかも知れないがそんなに強風が吹き荒れた日はなかったような気がする。
30年以上渓流釣りをしているがこんなのは初めての経験だ。この先、大雨が出たとしてもこの美しい渓が元の姿を取り戻すのは2、3年掛かるんじゃないかと思われる。


近所のスーパーやコンビニには行くのでそれほど気にすることでないかも知れないが他県を跨いで釣りに行くのにあたり、できるだけ人に会わなないようにすれば他県の方が心配することもないし自分も感染するリスクはなくなると云うことで山神様が弁当を作ってくれた。
24時間営業しているコンビニがなかった時代には弁当を持って行くのが当たり前だったので懐かしく感じたのと山神様の愛情が少しでも残っていることは有り難い。


上流は渓に木が倒れ込んでいるのは相変わらずだったが少し釣りやすくなってきた。しかし、底を這わせるような釣り方をすれば根掛かりするので本命ポイントに仕掛けが入らない。魚止め手前で8寸には少し足りないがチョットカッコいいヤツが姿を見せてくれた。
渓が荒れて不本意な釣りだった。
どうにも納得しきれないので尾根越えで隣の源流に向かった。


大体の地形は頭に入っているはずだったが高低差の感覚がズレ、まだ登りが足りないと思っていたのに小尾根に乗ると目的の渓筋が下に見えていた。高低差30mはGPSでも補正しきれない。
コチラも渓に木が倒れ込んでいたが小規模で釣りをするには影響がなかった。

源流のアマゴらしい野性味に溢れた8寸が出た。
どんなに苦しい釣りでも8寸が釣れればその釣行は報われる。

尺近いのが泳いでいるのが見えたがいきなり仕掛けを引っ張り針掛かりしたのは8寸ジャストだった。「おまえじゃないだろう」としばらく粘ったが更にサイズダウンしてそれっきり・・・・100m、1時間の短い区間、モヤモヤが晴れて忘れていた釣りの感覚を取り戻すことができたのは喜ばしい。

緊急事態宣言で自粛している間に源流の季節は進み、苔や若葉の緑が眩く映え最高にいい時期を迎えていた。

遡行データ
遡行距離:12.0km 標高差:450m 吉野川水系
釣果:18尾 最長寸:26.0cm

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