源流釣りルート開拓
はじめてこの渓に入ったのは20年以上前だった。
最終集落から電力の取水まで点検道が続いていた。取水上からが釣り場になるがそれからは上流には道がない。側面が崩れた連爆帯を越えると原生林に変わり素晴らしい渓相になる。ここまでくるとアマゴは良く釣れた。魚止めを確認したいが長い渓なので帰りのことを考えると3時前が限界で納竿しなくてはならず、いつも魚止めに届かない中途半端な釣りになってしまうことを残念に思っていた。
何度か取水が開いていることがあった。
もしかすると取水下は穴場かも知れないという発想がはたらいたて、本流の出合いから入渓することにした。解禁日間もない頃だったので取水までくると雪が深くなってきた。滑ったり転んだりしながらそれでも釣りを続けたが、流石に連爆帯を越える気にはなれず納竿した。帰りは渓通しは雪で危険だと判断して植林の中に帰り道を求めた。
ラッキーなことに少し登ると立派な林道に出合った。地形図で確認すると地図には記載されていないが、朝利用した林道が先に伸びいるからそのうち交差するだろうと予測した。何度か雪で林道を見失ったが眼下に見えるコルを目印に尾根筋を割り出し下っていった。コルから本流まで250m・・・・500mの大下降だった。帰ってから地図を確認すると隣の渓から伸びている車道の終点からトレースしたルートは近いようだ。
次の年、隣の渓からのルートを探った、車止めから連爆帯まで平行に伸びた林道を歩いて30分強、連爆の上の原生林から釣りはじめて念願だった魚止めの確認が出来た。
もう少し楽なルートはないかと南側の尾根ルートを探ったが失敗だった。笹をかき分けながら200m登るときれいに笹を刈った立派な登山道に出た。これは楽勝かと思われたが先にある山に続いていて尾根を分岐すると低木の薮に変わり前進できず結局急斜面を植林伝いに下り元の林道に戻る羽目になってしまった。
禁漁前の最終日、Kさんを案内して原生林の渓を目指したが入り口から雰囲気がおかしい・・・・植林が伐採されて林道がなくなっていた。仕方なくバラだらけの渓筋を下りどうにか釣りにはなったが帰りも草ボウボウのバラの道・・・・Kさんには、最終日だというのに酷い渓を案内して大変申し訳ないことなってしまった。それと、苦労して開拓したルートなのに植林の伐採で消えてしまったのが悔やまれてならない。
そんなことがありながらも、原生林の渓の新ルート開拓を諦めていなかった。それほど素晴らしい渓なのは間違いない。
別の渓から帰りに新しい車道が出来ていた。何処まで続いているのだろうと終点まで行くと原生林の渓の尾根突端だった。渓まで高低差200m、北側の尾根に取り付けば尾根ルートで車止めまで真っ直ぐ下りだけで戻ってくることが出来る。問題は遡行距離が長く魚止めまで辿り着かないとエスケープできない。
標高差700m、遡行距離11km・・・・楽な行程ではないが再び原生林の渓につながるルートを開拓できたのは喜ばしい。
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