ルート開拓⑨ 源頭を稜線まで這い上がれ

源流釣りルート開拓


長ーい渓
初めての遡行はキャンプ場をベースに泊まりがけで下流部と源流部に分けて釣り上がる計画だった。まずは下流部、本流の出合いから入渓して次から次に姿を見せる大淵に手こずりながら、目的の核心部に到達しないまま台風誘発の大雨に追われるように逃げ帰った。

2回目の遡行は7年後、林道を核心部手前に200m弱下降して、前回の続きの区間から魚止めを目指した。中流域を過ぎれば渓が少し落ち着くだろうと予想していたが相変わらずの大滝と大淵に苦しめられ釣っている時間より高巻いている時間の方が長く、水線を越えるのが精一杯で魚止めまで到達することができなかった。なんとか撤退道を見つけたものの林道工事により途切れてしまい、林道に復帰するのにムチャクチャ長い時間を費やした。


3回目の遡行 再び魚止めを目指すことになった。
前回から3年、林道工事は延長されようとしていたが魚止め付近までは伸びていないだろうと予測した。前回の撤退道まで引き返すのも不安が残る。最も確実なのは源頭を詰めて支流から稜線に這い上がり、緩尾根を辿ってピークまで登り登山道を利用して帰ってくるルート、地形図には登山道は記入されていないが前回の遡行で車止めまで戻ってくる途中に登山口の指標があることを確認済みである。
 核心部の途中から入る。入渓路らしき小尾根に踏み跡らしきものを見つけたが明確ではない、案の定小尾根の突端は切れていた。立木が生えているのでロープを掛け替えながら渓に下降することはできそうだが最初から犯すリスクではない。少し戻って支流の広くなった場所に下降すると対岸の斜面に踏み跡の続きを見つけた。
やはり、規模の大きい場所の高巻きに時間を費やされた。




最源流部、漸く魚影が濃くなり型も良くなってきたが撤退するまでの残り時間が気にかかりだした。初めての渓はいつもより早めに納竿したい、ルートに迷い暗くなり予定外のビーバークなんてことは何としても避けなければならない。小走りで小さな場所は飛ばし、良さそうなポイントだけに絞って竿を出すことにした。

もう一つの気がかりは、霧のような小雨が降り続いていた。この先大荒れになる心配はなさそうだが、気圧が変化して朝出発時にセットしたプロトレックの標高が高めに推移している。こんな時は周りに見える山容の特徴と地図に書き込まれたかれたイメージを比較すれば現在位置を割り出すことができるのだが山容は霧の中に隠れて見えない・・・・果たして支流の入り口を見つけることができるのか・・・・もし見逃してしまえばピークに向かうことになり厳しい登りになってしまう。


「たぶん、ここだろう」という支流の入り口を見つけた。笹の隙間を水がチョロチョロ、支流と云うより小さな窪みといった感じだった。狙い通りに標高差50mで稜線まで這い上がる。そして、ピークまで標高差150mの緩尾根を辿ったがシャリバテで動けなくなった。もしもの為に残しておいた予備食を腹に収めて回復、再びピークを目指した。

源頭の小さな溜まりまでアマゴが棲んでいた。
この渓の豊かさは源頭の原生林、ピーク付近には大樹が林立していた。


 

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