源流釣りルート開拓
カシミールを見ていると良さそうな渓を見つけた。
本流から標高差200mの連爆の先に程よい傾斜の流れが続いている。集落から林道が延びているようなので偵察に行ったが林道の入り口を見つけることができなかった。本流に回り込んで連爆を見上げた。「あそこをこうやって、ああやれば・・・・最後の直瀑がどうにも難しそうだ」と本気で連爆を大高巻きすることを考えていたが天気は雨模様、仮に連爆を高巻けたとしても本流が増水したら帰ってこれなくなるのは困ってしまう。その日は諦めて他の渓で釣ることにした。
家に帰ってからも、どうやったらあの連爆を高巻けるのかを考えていた。たぶん1時間以上かかる。帰りの下りのことも考えると現実的には無理のような気がしてきた。やはり林道の入り口を探すしかないようだ。
次は最終集落まで足を伸ばした。
集落のおじいさんに地図を見せて「この林道に行きたいのだけど・・・・」尋ねると、「ここを登ればいい」と指さした先は茅に覆われた中に道があった。
ヤツの最盛期、茅の道を辿る気にはなれず、ルート開拓は次の年まで持ち越した。しかし、はじめ考えていたルートより30分は時間短縮できることは大きな収穫だ。
結構、急な登りとなる。渓に向かっているような横道が現れた。迷うことなく横に進んだが集落に引かれた水源の点検道で水源を過ぎると道はなくなり素直に目的の渓まで案内してくれない。引き返すのは面倒だから薮を漕いで支尾根に取り付いて這い上がると地図にある林道と交差した。しっかりした林道が平行に続き、渓へ下降する場所まで1時間少々、連爆を高巻くより楽で安全だった。
問題は帰り道、林道は渓と交差しているだけで先に向かって続いている。地図にはそれ以外の記述はない。水線が切れる辺りで植生が針葉樹マークに変わっている。等高線の間隔が広がっているから植林がになっているはず、植林があるなら林業の作業道があると推測した。
予想通り、渓相は素晴らしかった。程よい深みがある淵の連続、前の滝を忘れない頃に次の滝が現れるといった具合。あまり釣り人が入っていないのだろうアマゴの反応も良かった。
短い連爆を高巻くと植林が現れ、渓沿いに林道が付いていた。その林道を下ると朝下降をはじめた場所まで続き後は平行に歩き最終集落まで戻るだけだった。一時は無謀な連爆の高巻きを考え、どうなることかと思っていたがこれほど上手く行ったルート開拓の例は少ない。
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