渓の雑学 2025/12/8
祖谷川は剣山を冠とし南は剣山から連なる四国山地北斜面と北は塔丸の途中から派生した祖谷山系南斜面から水量を集めながら下り、東祖谷新居屋で谷道川と合流し狭い国見山と中津山の間を通り、出合で最長支流の松尾川と合流してから山城町下川で吉野川に合流します。
谷道川は祖谷川の支流です。天狗塚を冠とし、南は綱附森・土佐矢筈の水量を集め、天狗塚・牛の背から派生した尾根を回り込むように東祖谷新居屋で祖谷川と合流します。
祖谷川の源流は剣山と次郎笈のコルのジロウギュウ峠から流れ出す2.深谷だろうと思っていますが、源流碑は西島駅から遠回りの遊歩道にあります。まぁ、登山客を意識してのことだと思いますが、この小さな小谷は雨が降らないと釣りにならない水量です。チビ助を数尾掛けたことがあります。
天狗塚の天狗峠から見た17.谷道川の最源流です。谷道川は植林のイメージが強いのですが、流石にここまで詰めてくれば自然林に覆われます。可なり昔の話ですがいいアマゴが居ました。
松尾川は祖谷川最長支流です。矢筈山を冠として祖谷山系の西側を祖谷川との間に挟み込むように流れ出合で祖谷川と合流する。北側の稜線は矢筈山から北に延び石堂山・風呂塔・腕山から続いてきた標高1000mクラスの山々から水量を集めています。
33.深淵川は矢筈山の源流と烏帽子山の源流に分かれますが、私的には雨量を受ける面積の広い烏帽子山源流の方が好きです。
祖谷川 渓流釣りの概要
祖谷川の水源である剣山一体は剣山国定公園に指定され、広大な範囲で原生林が残存しアマゴに導かれ源流域に足を踏み入れれば深山幽谷の世界に引き込まれます。剣山系の渓は石鎚山系の急峻で険悪な渓と比べれば比較的緩やかな渓相をしているので源流初心者が源流釣りをはじめるのに適していると思われます。

次郎笈中腹から見た祖谷川支流の植生
祖谷川本流は吉野川と合流するまで名頃ダムに代表される4つの取水で分断されます。発電用に集められた水は発電後も祖谷川に戻されず取水で集めた水と共に、発電に必要な高さを確保するためにパイプで下の発電所に送ることを4回繰り返しています。本流はその下にある支流の流れ込みがあるので徐々に水量を回復していきますが取水された分は少なくなります。
その支流ですが、祖谷山系側にある支流は標高900mにある取水口から水量を集め山を越えた松尾ダムに送られます。松尾ダムに集められた水は、また山を越え井内谷川上流の松尾川第一発電所で発電します。さらに発電に使った水をパイプで送り吉野川沿いの松尾川第二発電所で発電します。
誰が考えたのか取水した水を一滴も無駄にしない発電システム、知識が浅い事柄に文句を云うつもりはありませんが、このシステムがなければ祖谷は水量豊かな郷だったに違いないと思います。
祖谷川は支流釣りが中心になります。支流に入る場合、の取水口の有無を確認しておかなければ釣果に恵まれません。しかし、大雨で取水口がオーバーフローしたときにアマゴも下流に流され深みのある大淵に居着き釣り人の目を忍びつつ大きくなる場合があります。敢えて取水下大淵の大物を狙うのもアリだと思います。
祖谷川の釣り場
エンテ釣りになりますが名頃ダムのバックウオーター5.イゴウ谷~1.大剣谷の間の本流は意外と大物が出ることがあります。しかし、車道が近いので上流に釣り人が入られることを覚悟しておいた方が良いと思います。(丸石の奥祖谷かずら橋周辺は禁漁区だったよう記憶があります。)
名頃ダムより上流の1..剣谷~6.唐谷は取水による減水の影響がなく、傾斜がそれぼどキツくないので釣りやすい谷になっています。ただ、この辺りは釣り人の往来が多い激戦区で放流しても直ぐ釣りきらてしまうのか下流域は魚影が薄いのが現実です。
昔、最高の釣り場だった7.四ツ小屋谷は三嶺の崩落によって源流部が大岩で埋まり、南尾根の崩落で土砂流入を食い止めるために10基以上の大型エンテが立ち並び渓流竿では太刀打ちできないようになりました。ルアーならなんとかなるでしょう。
ダートの荒れた林道を厭わないのなら12.霧谷が選択肢に入ります。標高900mにある取水口の上で水量が復活します。13..落合谷も取水口より上が釣り場になりますが谷の長さが1/3になります。
16.鎖谷と21.小島谷は車止めまで道が舗装されてから釣れなくなった谷です。源流部に釣り人が押し寄せると魚影が薄くなる典型例です。
祖谷川下流の23.若宮谷・24.日浦の谷・26.川崎の谷にもアマゴが確認できます。

深山幽谷の深谷

霧谷源流部の渓相
谷道川の釣り場
傾斜がゆく横にしっかりとした道が付いている17.谷道川に入る釣り人が多いようです。こういう激戦区は苦手なので支流や水線のない小谷に入ることにしてます。魚影は薄いですが、ソコソコの大物に出合う確率は本流より高いように思います。

谷道川源流の渓相
松尾川の釣り場
松尾川本流で大物が釣れるというので出かけてみましたが、大物の匂いはプンプンするのだけど高巻き出来ない場所現れ車道まで這い上がったり、大淵に滑り落ちそうになったり・・・・相当厳しかったことを覚えています。松尾川で本流釣りをするなら上流で車道が川の右から左に変わる橋上からだと思っていますがその計画は実現していません。
源流深さが味わえるの30.第三坂瀬が好きです。21.小島谷から回り込むルートがあったのですが植林伐採でバラ園と化し使用できなくなりました。新たに開拓したルートは標高差700m遡行距離10km以上なのでおすすめできません。
大昔、松尾ダムのバックウェータに大型のシラメが遡上するという噂を聞きつけキャンプ釣行に行ったのですが釣れたのは友人がルアーで掛けたブラックバス1尾・・・・「標高900mだぜ」と思ったのですが寒さに強いバスも居るようで「コイツがいるなら駄目やな」ってことでキャンプが主目的になりました。
33.深淵源流も車道が舗装されて釣れなくなった谷です。

第三坂瀬の渓相
祖谷川のアマゴ
スッキリとした魚体、オレンジの小さな朱点が散りばめられ背中の黒点と重なるところがいい、パーマークは大物になると中心に空洞ができキスマークの形、腹部の斑点が密集しているのは源流アマゴの証のようなもの、祖谷の源流を徘徊していると、見惚れてしまいそうなアマゴと出合うことが極希にあります。
四国の渓流釣りのロゴになっている『妖精が済む渓』のアマゴ
渓の流れはザラ瀬の下に伏流しているのか?殆ど流れなくなった。少しでも水があるならとしばらく遡行を続けていると川底が岩盤に変わり谷の水が復活してそれなりの落ち込みと淵が現れた。同行していた相棒の竿が大きく曲がり手にしたアマゴは今まで見たことのない魚体の美しさに二人とも言葉を失った。次の淵で私も同サイズの美しいアマゴを(下の写真)手にした。
下流と伏流で隔絶された場所、下流のアマゴと全く違う魚体・・・・遡行記には「この渓の在来種に違いないと思った」と書いているが真相は分からない。HPを見て「場所を教えてくれればDNA鑑定をします」と云う怪しいメールが来たがこういうことは、真実を知るよりロマンのままで酒の肴にするのがいいと思っていいます。
次の年、美しいアマゴが釣れた場所を訪れたが淵はガレに埋まりアマゴの気配はありませんでした。
まとめ
吉野川漁協問題で分かったことは漁協は過疎化や組合員の老齢化で弱体化して渓流釣りの未来など考えていないってことです。そんな中で渓流釣りが未来に於いても継続可能な遊びであるためには種沢としての源流が重要であり、そこに棲む魚を絶やしてはならないと思います。
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