前の川に野鯉が10数匹泳いでいる。大きい奴は70cm・・・80cm近くあるかも知れない。以前は鯉、鮒、ハヤ、オイカワ、カジカ、ゴリ、ドジョウ、ウナギなど多様性にあふれる川だったが、上流のダムに放されたブラックバス・・・・それが下流の川に流れて、小魚が泳いでいるのを見ることが少なくなった。そして、ブラックバスがちょっかいを出せない鯉のような大型魚しか残っていないようだ。子供の頃は、どこどこに鯉が居るという情報があると皆、学校帰りに川に入り追い回したものだ。最近、川で遊ぶ子供を見ない。子供が減ったのもあるけれど魅力がない川になってしまったようだ。
野鯉と勝負してやろうと思った。9mの本流竿、いつも渓流で使っている仕掛けを長くした道糸1号、ハリス0.8号、以前ダム下の溜まりで50cmの野鯉を釣ったことがあるが6mの渓流竿で負ける気がしなかったから、これで大丈夫だと高をくくった。勝負はあっという間だった。餌を加えて竿を立てたがグイグイ持って行かれ完全に竿が伸された。そしてバッシャと水面からジャンプした瞬間に穂先近くの道糸の結び目から切られてしまった。その後道糸2.5号、ハリス2号で何度か再チャレンジしたが警戒しているのか寄ってこない。しばらく時期を空けないと勝負は無理のようだ。
もっこく池の釣り大会は先週の日曜だった。
2日後、ちょっと様子を見に行った。寒いなか平日だというのに十数人ほどの釣り人がいた。ほとんどがルアーマンと数人のフライマン、餌釣りのおっちゃんがいたので後ろで見ていると40cm弱のニジマスを掛けてなかなかいい引きだった。しばらく見ていると岸から3mくらいの水面を50cm越が悠然と泳いできた。赤紫の模様がハッキリした雄だった。「あんなのおるんやね」と話しかけると、いろいろと虹鱒釣りのことをレクチャーしてくれた。ムチャクチャ広い池だからルアーで広範囲に攻めないと無理だと思っていたが岸近くを回遊しているようなので延べ竿にもチャンスがあるかも知れないと思った。
地の利を活かして朝まずめと、夕まずめの1時間を狙ったが3連敗中、アタリが3回、1回掛けたが痛恨の針外れ・・・・釣れるまでは止めるわけにはいかない。
仕掛けは相変わらず延べ竿にミミズの渓流スタイル、残念なのは流れがなく底が取れないのでウキをを付けていることか・・・・竿が9mに8mの仕掛け、浮き下が2mくらいなので仕掛けが岸から届く範囲はせいぜい12、3mってところ魚との出合う機会を増やすために、斜め前に仕掛けを入れて横移動で寄せてくる戦法、ルアーマン達からはあんなので釣れる筈がないと思われているかも知れないが延べ竿一本に拘る理由は、掛かった時魚とのやり取りは絶対楽しいだろうと想像してのことだ。
今日も釣れない。
竿を手すりに置いて煙草に火を付けているとウキが沈む・・・・慌てて竿を上げる。掛かったのは尺1寸33cm、これくらいだと、本流竿なら魚に主導権を与えることもなく寄って来たが大事を見て網で掬った。
とりあえず、もっこく池の初めての1尾が釣れたので、今日も来ている餌釣りのおっちゃん師匠にご報告に行った。 「これ使ってみる」と門外不出秘密の餌を分けていただいた。
餌を付け変えて釣りを再開した。しばらくするとウキがピクピクと動いて沈んだ。合わせを入れると竿は限界まで曲がり、さらに絞り込もうとするので腰を落とし、いなしながら沖に出るのを食い止めた。糸鳴りがして竿がミシミシと悲鳴をあげた。大きいのはわかるがどれ程のものなのか全くわからない。少し弱ってきたのか沖に出るのは諦めたようで横に動き出した。横に動き出せばテンションをかけながら着いていけばいいだけなので勝負の行方が見えてきた。やがて魚が水面を割って姿を現した。「でっデカイ!!」 ゆっくり寄せて玉網の中に収めた。55cmの産卵で腹が膨れた雌だった。針を外すとき卵が出てきて可哀想なことをしてしまった。
魚とのやり取りは想像していたよりも遙かに楽しく緊張感があるものだった。やはり、延べ竿の選択は間違っていなかったようだ。
ドラマはまだ続く
おっちゃん師匠の餌は流石に凄かった。感謝、感謝で言葉もありません。
小さなアタリがあるが、魚が乗らない・・・・アタリがなくても竿を上げると餌がない。なんかおかしな雰囲気・・・・餌をミミズに換えると一発で掛かった。
今度もデカそうだ。しかし、釣り人はさっきより魚とのやり取りに余裕がある。2分くらいで浮かせたが、そこからが強かった。水面をバシャバシャと泳ぎ回ってなかなか寄ってこない。4分以上かけて漸く玉網に収まった。 57cmの顎がしゃくれたカッコイイ雄だった。
たぶん、まぐれだと思う。
まぐれも二度続くと恐ろしいが、この後『のべ竿のニジマス釣り』にのめり込むことになった。
YouTube動画『もっこく池 虹鱒釣り』
延べ竿に拘った理由がわかると思います。
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