源流釣りルート開拓
この水系の中では長い渓
渓と車道が交差する場所から渓を覗き込むと渓の規模にしては水量が少なめ、ここから水線の中間に電力の取水口があり発電用の水を取り込んでいる。橋の手前から伸びる林道は2つに分かれて、一つは目の前に見える砂防エンテを作った時の工事用の道、もう一つは渓沿いに続いている電力の取水口に続く点検道だ。
釣りはじめるのは電力の取水から、長い距離に加えて標高差が300mあるので2時間以上歩かされる。2時間歩いてから釣り・・・・そんなハードな釣りをする釣り人は滅多にいないからよく釣れる渓だった。釣れるからなかなか前進出来ない。でっ、帰りが気になりだし撤退・・・魚止めに辿り着けないパターンが続いていた。
その日はたかさんと相棒コンビ
なかなかいいペースで釣り上がり、念願の魚止め確認ができるかも知れないと思った。昼を過ぎたので滝の前で昼飯にした、その頃はクーラー魚籠に凍らせたビールが入っていた。昼ぐらいになると氷が溶けて飲み頃になる・・・・旨い。
「もう1本飲む?」とたかさんに誘われた。たかさんのビールは500㎖ 「これは多いよ」と二人で分けて飲んだ。
昼飯済ませ小滝に取り付いた。10mくらいバックすれば巻き道があることを知っていたが面倒くさくて滝を直登した。
あと少しで登り切れるところで足を掛けて岩が崩れて滝壺の中に落ちた。ぼぉーっとしながら流され、気が付いたときには滝壺の渕尻にいた。身体は何ともなかったが立ち上がろうとすると足首が痛みが走った。落ちる途中で滝にもたれ掛かっていた流木に足が乗り上げて捻挫したみたいだ。
まだ、釣りをする気力は残っているけど長い帰り道を考えれば引き返すしかない。「もう少し釣ったら追いかけるよ」と云うたかさんと別れトボトボ歩きはじめた。
いつもなら3時間あれば車止め、4時間以上ヨタヨタ歩き続けているのに辿り着かない。座り込んだついでに足首を見るとパンパンに腫れ上がっていた。それより気に掛かるのはたかさんのことだった。いくら何でも追いついてきてもよさそうな時間・・・・遅すぎる。
何かあったのか? 向かえに行こうにも、この足じゃムリだし・・・・後ろを振り返りながら歩いていると前から「おーい」 たかさんだった。
でも、何で前から????
聞けば、しばらく釣り上がると重機の音がして伐採林道の工事中・・・・ダンプの兄ちゃんが一仕事終えたら乗せて帰ってやるってんで待っていたそうな・・・・なんだ心配して損しちゃった。
たかさんに荷物を持ってもらい30分、やっと車止めに着いてスパッツを脱ぐと足首はもうこれ以上腫れ上がることはないだろうと云うぐらいにパンパンだった。全治1ヶ月半・・・・それから、渓にビールを持っていくのを止めたのは云うまでもない。
植林が植えられない斜面には原生林が広がる。
概ね緩やかな渓だが厳しい場所もある。
次の年、伐採林道の確認に行った。
切り開いただけのガタガタ道だったが最源流で渓と交差して尾根の向こうまで続いていた。電力取水に至る林道も整備され15分も下れば取水に着いてしまう。
魚止めの確認は簡単になったが最源流に車道が通っているから渓の魅力は半減した。やがて、伐採林道は舗装され釣り荒れるようになったのは必然だ。できれば、車道が付くに魚止めの確認をしておきたかった閉鎖的源流
現在は取水が開いて、大場所が連続する取水下の方が魅力的な渓かも知れないと思う。
大場所が続く取水下
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