東予水系 2020/3/6 晴れ
連瀑をパスして最源流部の魚止を確認する計画
山歩きが中心の遡行になると判断したので半夏仕様の足回りを用意してきたが車止めの気温は-1度だった。
陽が昇れば気温が上がるかも知れないけど流石に無理があるだろうとウェーダーを履くことにした。歩き始めると極わずかな白いものが目に付いた。
「雪だ・・・・」
目的の最源流はここから標高差400mを越える最源流から釣り始める。
山を見上げると大崩落した場所に雪が付いていた。東斜面と西斜面の違いはあるが釣りはじめと同じくらいの標高・・・・
「なんか嫌な感じがしてきた」
最源流までは竿を出さず遡行に専念しようと心に決めていたが、渓筋を通過するとき落ち込みがあって良さそうな水の流れがあればついつい竿を出してしまうのが釣り人の性・・・・
釣れなければさっさと見切りをつけて先に進むことができるのだがアマゴの反応が良いものだからロスが重なってしまう。
この尾根を登る。
尾根の取り付きは幾つかの大滝を高巻いているので岩場の急斜面を際どく登る。
眼下に如何にも大物が出そうな滝淵が見えているがここで竿を出していては最源流を釣る時間が無くなってしまうので自重した。
半分も登らないうちに雪が出てきた。
昨日の夜から朝方に掛けて降った新雪、足底のフェルトにくっ付き高下駄になるのと急斜面の山道ではメチャ滑りやすいので厄介だ。
立木を握りながら慎重に登る。
入渓ルートは釣り仲間のKちゃんが付けた赤テープが案内してくれる。
尾根と谷筋を駆使した極めて適切なルートなのだが『雪』は考慮されていない。
谷筋がザクッと切れて手がかりとなるものが何もない。
「ここを下るのか? ヤバいなぁ」
もはやこれまでか・・・・と思ったが下から聞こえてきた瀬音に諦めきれずなんとかクリアーした。
最後の難関は渓筋に降りる寸前にある岩場
最近はロープを持たない。ロープを掛けなければ行けない危険な箇所には近づかないと決めた。
その代わり安全確保のために登山用語で云うテープをザックのサイドポケットに入れている。
長さ10m2つ折りにして5mでギリギリ下の足場に届いた。
これを危険というか安全確保というかは本人次第なのだ。
登り口はここしかないのでテープは掛けたままにしておいた。
渓は陽が当たる場所と影の場所がハッキリしている。
雪のない場所だけ歩ければ良いのだが雪の上を歩いて雪のない岩に乗るとメッチャ滑る。
水の中で靴底の雪を溶かそうとするが水温が冷たいのか逆に凍るような気がする。
水温が低いのか痩せたアマゴばかり釣れる。
陽が当たる淵、竿先に重みが伝わるが針に乗らない・・・・
痩せたアマゴが餌だけ咥えてじっとしているのか・・・・
十分に喰わせて合わせを入れると強い引き、格好いい顔付きをした9寸の雄だった。9寸の後を追わえて来たアマゴ、コイツも大きく竿を曲げるのに1発では針掛りしない、竿が曲がって走り出したところで合わせを入れたら同サイズの雌だった。
100mほど釣り上がった所に水流が磨いた一枚岩を持つ滝、この滝を越えれば遡行が楽になるのだが岩の上に雪が積もってツルツル滑る。
さてどうしたものか?ここを何とかクリアーしたとしても帰りもここを通ることになる。
登るのはいいが下るのはチョット難しい、頼りのテープも放置してきたままだし・・・・
先のことで気がかりなのは雪の急斜面をどう登れば山道に辿り着けるのかが支配的、魚止めに届かないのは確定的だし、足首でもひねったらこの谷間に閉じ込められることになる。
「もう、いいや」
斯くして『最源流の魚止め釣査』は釣行距離:100m、釣行時間:1時間少々で終わることになった。
「夫婦9寸が見られことに大満足ですわ」と負け惜しみを云う。
こうなったら、陽が当たる場所で飯食ってザックの重さを減らしてから雪の急斜面登りだ。
今日の渓飯は早くもセブンで売っていた『冷やしうどん』
さ今年の味はどうかな?
ちょっといりこの風味が足らないような気がすると上から目線のうどん県人
どっちにしろ渓飯は禁漁まで冷やしうどんになる。
帰りは陽が当たる岩場の斜面が良さそうに見えたので別ルートを登る。
こっちは滑落の心配が無い、なんとなく道が続いているよ見えたけど途切れてしまい岩場のヘリを登っているとドン詰まり・・・・
立木の尾根に鞍替えしたらKちゃんの赤テープ、やっぱりあの嫌らしい谷筋を渡らなければいけないのかと思っていたら雪が半分以上溶けて大した危険は感じなかった。
尾根道は2つに分かれる。
目印の小屋跡があったと思うのだが朽ちてしまったのか屋根柱しか残っていなかった。
ここで間違えてしまえば遠回りになる。右尾根は立木の密集が疎らで道筋が明確でないけど赤杭が案内してくれた。
それに日当たりが良く早い段階で雪がなくなり歩きやすかった。
雪にいぢめられ、またしても魚止に届かなかった。
渓は逃げないし、暖かくなり陽が長くなったら再チャレンジしようと思う。
3月初旬、雪を舐めたら痛い目に遭う教訓だった。
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