釣りのことだけを考えるなら通い慣れた渓の方がいい。時期や天候の多少の差があったとしてもルートを知っていれば迷うことはない。帰り道がハッキリしているなら長く時間釣れるし、ポイントは把握しているから釣果も上がる。
しかし、通い慣れた渓は物足りなさを感じることがある。
源流釣りは渓筋を辿り魚止めを目指す、同じ場所にとどまって竿を出すような釣りではない。次々移り変わって行く風景、時に見たこともない自然美に見とれ時間を忘れる。大岩を乗り越え、大滝を巻き、深淵をヘツリ、急斜面を這い上がり、薮を掻き分ける。困難な場所に出くわせば、ルートを切り開くため自身の経験と技術が試される。そして、渓の特徴を持った美しい渓魚と出逢えば、しばし心を奪われる。釣りだけじゃない、 それらを含めた全てが源流釣りである。
はじめて入る渓じゃないと源流釣り本来の感動は味わえない。
多くの渓に出逢えば
- もっと素晴らしい原生林の源流に出逢えるかも知れない
- もっと感動的な風景に出逢えるかも知れない
- もっと美しいアマゴに出逢えるかも知れない
新規開拓は楽しいのだ。
地図に道の記述がない長い渓や厳しそうな渓は入念に地図を眺めたり、ネット情報をチェック、大体、源流釣りの情報は少なくて阿波府屋だ・・・・公表すれば渓が荒れたり、釣れる魚が減るからナイショにする暗黙の風習がある。
まぁ、俺もそのせせこましい釣り人の一人なんだけどね。
そんなときは山屋さんや沢屋さんのネット情報に頼ることになる。こちらは完全オープン、有り難いことに遡行地図まで付いていたりする。ただね、目的が違うから肝心な部分が分からないってことが多々ある。
最近はGoogle Earth
ストリートビューはない。年々表示解像度が上がっているから何となくならイメージを描くことができる。
GoogleEathの使い方
- 地形図を読めば大まかなイメージは掴めるが難解な渓はGoogle Earthでシミュレートする。
- 追加アイテムの『パス』を使い、遡行ルートをラインでつなげば分かりやすくなる。
- 拡大縮小(視点の高さ)や視点の角度を変化させ地形を分析すれば渓のイメージは広がる。
- つないだラインで仮想遡行したり、高度プロファイルで断面を切り遡行距離を把握する。
どんなアマゴが棲んで居るのか?
魚止めは何処か?
何処からアプローチしてエスケープするのか?
緩い支尾根に取り付いて尾根を下れないか・・・・
最悪は渓通し、渓を釣り上がるより下る方が遙かに難しく危険なんです。
ややこしそうな場所が地図を見ただけで想像できれば一人前だ。
第二、第三の回避オプションを用意しておく臆病さが必要。
釣れない現実を突きつけられるより、もう釣れたつもりなって釣行計画している時間は楽しい。
多めの食料・長めのロープ・ヘッドランプ・・・・いつもより荷物が重い。
地元の人にバッタリ会うような時間じゃないから情報の更新はない。
尾根の付け根や渓沿いに道がないか探す、道があればしばらく辿ってみるのもいいだろう。次第に渓の状況が分かってくる、想像だけだった渓のイメージを合わすことからはじめる。道の方向が源流に向かっていれば『道がない』と云う不安要素は解消する。
緩い斜面から渓に下り釣りはじめる。
釣れるパターンを探す、本筋で釣れないようなら某かの入渓があるに違いない。
踏み跡・赤テープ・鉈目などの目印になるようなものに注意を払いながらの遡行、 人里離れた源流に入ろうとしているのに人の気配するものがあれば安心する。
渡渉場所や橋と出合ったら道が斜面を変えた証
- 釣りを止めて様子を覗ってくるのも一つの手段、
- 右左どちらの斜面に道があるのかを常に意識しておけば撤退に失敗しない。
- 納竿場所に道がなくても、「ここまで帰ってくれば道がある」渓の難易度は1段下がる。
大滝やゴルジェ・・・・嫌らしい場所は突然現れる。
(嫌な雰囲気を漂わせながら現れると手強い)
- 右巻きか?左巻きか?
- 手に負えるかどうかの判断
- 帰りはどうしたら良いのか・・・・
地図と現実を見比べながら答えを導き出す、間違えたらシンドイし怖い目に合うかも知れない。ドキドキ・ワクワクの真剣勝負
初めての渓はこれが一番楽しい。
判断材料は
- 魚止めに届くのか?
- 帰り道の状況は?
- それまでの釣果だって関係する。
- 釣りを止めて魚止め確認に向かう手もある。
- 計画に従って行動するのか?
- 計画を修正するのか?
- 昼からの時間配分を考える。
いつもより早めの納竿
時間を決める。
魚が出るからと云って納竿を先延ばしにするようなら何れ痛い目に遭う。
初めての渓は3時が限界!!!
釣果云々より無事帰還することがなにより大事だ。
全てが上手く行くことなんて希だ、反省点を見つけて次の釣行に活かす。
- GPSの遡行軌跡を残せば、もっと楽な遡行ルートが見つかるかも知れない。
- 人の記憶なんて曖昧なものだからターニングポイントは写真で記録しておく。
- GPSアプリと連携させれば地図上に表示することも可能
- 面倒くさいけど釣行記を書いておけば薄れてゆく記憶を取り戻すことができる。
先日、飲み会で新規開拓に誘われた。
存在は知っていたけど、家から遠いし標高の低い渓なので釣査しようとは思うには至らなかった。
チョットGoogle Earthで覗いて見た。
ワクワク感、ドキドキ感一杯のなんちゅう渓や
少々足を伸ばせば、俺の知らない魅力的な渓が四国には残っている。
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