源流アマゴの魅力

源流釣り入門
源流釣り入門

四国の渓流はアマゴ域、最源流の魚止めには岩魚ではなく源流アマゴが棲む。個人放流で放された岩魚の渓であっても最源流にはアマゴが居ることもある。源流アマゴは厳しい源流の環境によって容姿を変える多様性のある魚、自然界で逞しい生命感に溢れる姿を見せてくれる。

源流アマゴの魅力に取り憑かれて長い歳月が流れた。魚体の姿・形・色使い、鰭の赤みを帯びた縁取り、特徴であるパーマーク、朱点の色と配置、アマゴは美しい魚だと思う。特に源流アマゴの美しさは際立っている。そして、雄は「格好いい」と一言だけでは済まされない凜々しさを兼ね備えている。


淵の連続を過ぎると渓はザラ瀬になりアタリが遠ざかった。水量も伏流しているのか殆ど無くなったが遡行を続けると渓底が岩盤となり水が復活した。

相棒の竿が大きく曲がり釣れたアマゴは朱点が鮮やかだった。まさに渓の妖精、魚体の美しさに言葉を失いしばらくの間釣れたアマゴに見とれていた。それは、初めてアマゴを釣った時の感覚によく似ていた。次に俺の竿にも俺の竿にも妖精アマゴ、その後同じ特徴を持った数尾掛かり水がなくなり終了した。 下流で釣れたアマゴと全く違うことから渓の在来種を意識するようになったのはこの時から・・・・現在、岩盤の淵はガレに埋まり妖精アマゴが姿を消したことを残念に思う。


目が眩むような連爆の細い尾根を高巻くと渓は緩くなる。両岸が切り立ったV字谷、帰り道は遙か上を通り源流の二又まで遡行しないと出合わない。その帰り道も随所で崩れ谷底まで切れ込み怖い思いをしないと通過できない。また、隣の渓まで跨がっているので長い距離を歩かないと車止めに辿り着けない。 典型的な閉鎖渓にそのアマゴは棲んでいた。

魚体は全体に黒っぽく、黄味掛かった腹部には夥しい数の黒点が密集していた。今まで見たこともないアマゴ、薄気味悪さを覚えるような野性味溢れる魚体、釣れるアマゴの大半が同じ特徴を持っていたから在来種を感じずにはいられなかった。家から遠く長い間ご無沙汰になっているが元気に淵を泳いでいるだろうか?


地図に書かれた水線は短いけど奥が深く複雑な渓、魚止め近くで鼻ぺちゃの不細工な顔をしたアマゴが釣れることがある。
鼻ぺちゃのくせに下顎が発達気味で口が小さい。餌の少ない源流で生きて行くには不利に思えるがコイツは立派に9寸を越えていた。まだ生息数が少ないので在来種なのか?突然変異なのか? 謎だらけ・・・・兎に角愛嬌があって可愛いヤツ、しばらく釣査を続けたいと思う。


忘れられた源流の小さな渓、夏場は灌木の茂みに覆われ、余程の物好きじゃないと釣りに入ろうなんて思わない。狭く閉ざされた暗い岩場の滝を横切ると素晴らしい渓が待っている。

背張りから口先に掛けてのラインが鋭く尖り独特な顔つき、ロケットアマゴと呼んでいる。在来種と呼ぶには抵抗がある場所で数を増やし固有化しつつある。例え放流魚であっても人の影響がなくなれば長い歳月を掛け渓の環境に合わせたアマゴに育つ。大事に見守って行く必要がある貴重な源流アマゴだ。


四国でも朱点が無いアマゴが釣れることがある。まぁ、四国なんだからヤマメではなくアマゴでいいと思っている。

連爆の大滝を高巻いて大淵が連続する長い渓、魚止めまでの中間辺りの長い区間で朱点が無いアマゴが釣れる。四国で放流するなら朱点があるアマゴの筈だから在来種の可能性は大きいと思われる。源流部には朱点が多いアマゴが放流されているので交配するのも時間の問題だろうと考えられる。 どんな風に交じり合うのかを観察するのも意味があることだと思う。


出合から入ったのでは魚止めに届かない危険を感じるような大場所が連続する渓

アマゴの特徴はパーマークの輪郭がぼやけている。それは最源流に近付くほど顕著になり数は少ないが朱点の無いアマゴが釣れるようになる。朱点どころか背中や腹部の黒点すら殆ど無い不思議なアマゴ・・・・ 渓の上部に林道が延びようとしているがこの渓のアマゴだけはそっとしておいて欲しい。


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アマゴの美しさは何と言っても宝石を鏤めたような朱点にある。 個人的には、赤色が濃く小さめで程よい数がそろっている朱点が好きだ。背中の黒点と重なっていれば在来の系統を持っているかも知れない期待がある。
ヤマメより1つ多い朱点の特徴があることでアマゴの分類は複雑になる。


このアマゴは朱点の周りが薄くなり縁取られ浮き上がっているような印象を受ける。測線上に数個あるのが少し微妙だがバランスがよく源流アマゴらしい魚体に合っている。尾鰭や尻鰭の赤い縁取りがいい感じ、サビが残る厳つい顔付きも最高やね。


朱点が大きくて沢山あるアマゴは人工的な匂いがしてあまり好きになれなかった。
特に側線上の朱点は卵放流魚の特徴の一つである理由からだ。
卵放流でも源流の環境に馴染めば源流アマゴに姿形を変えていく。
最近、これはこれで美しいと思うようになった。


コイツも人工的な匂いがするオレンジの朱点が多いアマゴ、昔は一部の渓にしか生息していなかったのに南斜面の複数の渓で勢力を拡大中、アマゴが短期間で谷を移動する筈もなく、人の手が大きく関わっているのは確実だ。
大きくなるのが早いような印象があって良型が揃うことがある。


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源流アマゴの魚体は底石の色に合わせて背中やパーマークが保護色になることが多い。四国の中央構造線上に分布する青石に合わせた青アマゴ、透明感があって上品な雰囲気を持っていた。


花崗岩の白い砂地に合わせた白アマゴ、これだと泳ぐ姿は殆ど見えない、見えたとしてもチビ助だと勘違いする。これほど保護色に馴染んだ魚体なのに尾鰭の赤の鮮やかさが不思議です。


黒アマゴ
昼間でも陽射しが届かない滝の大きな一枚岩の下に隠れていた。
サビが残っているのだろうと思われる方がいるかも知れないが9月に釣れたアマゴです。引きが強く、黒いファイターだった。

黄金に輝くアマゴ
盛期はもう少し薄い黄色で底石の色を保護色にしている。寒い時期、冷たい水から身を守るための保護膜が魚体の色を変えているのだと思う。
デカ顔の素晴らしい魚体だった。


赤アマゴ
人工的に作られた放流魚だと思われるが淵底を泳いでいる時から目立っていた。源流で外敵から身を隠し生きて行くのは大変だろうと想像ができ少し可哀想な気がする。釣友が名付けた『花魁アマゴ』がしっくりくる。


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最高所の尺上 記録更新
タライよりチョット大きいくらいの水溜まりに尺1寸、どういう条件が重なればここまで大きくなれるのか?源流アマゴは環境適応能力が高く、水が減った最源流域でも納竿のタイミングが難しい。


この水系のアマゴは大きくなると体高が高くなり背ッパリになる。そして、9月なので婚姻色かも知れないが黒い縦模様が出てくる。墨絵のような魚体は燻し銀のような渋さに満ちている。背中に数個の小さくて薄い朱点がアマゴの存在感を示していた。


早期はサビが残っているアマゴが釣れる。
サビもアマゴの魅力だと思っている。雄は厳つい顔付きにサビを纏うことで更にカッコ良くなる。魚体の色が濃くなり、各パーツの美しさの段階を1段上げる。


 

源流は本流のように餌が豊富にあるわけではない。水面に落ちた獲物が何であろうとアタックし喰らいつかないと大物にはなれない。大物になれば口元が鋭く発達し究極の武器を身に纏い、淵の小世界を支配する力を手に入れる。実際に小さなヘビやサンショウウオ、昆虫などを襲う場面に何度も出くわしたことがある。また、いち早く獲物に到達できる俊敏な泳力も必要だ。獰猛さ俊敏さは渓の王者としての風格を生み『凜々しい』と云う言葉がよく似合う。

人里離れた山深い渓を辿る、人の気配を感じなければ幸せになれる源流釣り、現実からの逃避とも取れる行動だが、魅力的な源流アマゴに出合うために四国中を西奔東走する。


魚止め



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