稲叢山とシコクイワナ

四国の山歩き
四国の山歩き  2016/10/10 晴れ 

カシバードによる遡行図

Start
 旧登山口(9:36)-
 洞窟分岐(11:10)-
 稲叢山(11:30~12:15)-
 洞窟分岐(12:40)-
 伝説の洞窟(13:30)-
 分岐(14:00)-
 洞窟登山口14:10)
End
標高マップ

今年の渓流シーズンは最終日を待たずに9月17日で何となく終わってしまった。

最後は『有終の美』なんてことを思っていたがいろんな都合で押しつぶされた。

結局最終日となった高知東部水系は何年も前から思い続けた新規開拓の渓・・・・あれはあれで『有終の美』として今シーズンの最後を飾るにふさわしい渓だったかも知れない。
さて、今年もソロソロ オフトレをスタートしなければいけない。
夏に読んだ本
昭和30年代、初めて四国に岩魚が持ち込まれた記録が残っている遙か以前、孫と祖父が四国に居ない筈のイワナを探して吉野川源流を辿り1尾の岩魚を釣り上げた記憶。40年後、孫は僅かに残った記憶を頼りに、当時祖父と歩いた行程を辿りながら、 シコクイワナが生息していた場所を探し当てる物語(シコクイワナ 青木哲也著)
シコクイワナを釣り上げた場所は瀬戸川源流、現在は稲村ダムに閉ざされてしまった稲叢山から流れ込んでいる渓だ。この地に残る、平家落人伝説と上流へ追われて行く岩魚の姿を重なり合せている。物語の中で最も印象に残っているのが、長沢から稜線を辿り断崖絶壁の中に孫が見た程野滝を描いた情景だった。
今年のオフトレをスタートさせるにあたり、祖父と孫が辿った稜線を見てみたいのと、山頂から続く稜線を辿れば1384のピークから程野滝が見えるかも知れないという期待から稲叢山を選んだ。
電力のゲートを抜けた直ぐにある旧登山口から登りはじめた。
旧があるなら新は平家伝説がある洞窟登山口らしいが、事前の調査を怠り気付かなかった。緩い尾根のゆったりコース、痛みが残る膝を抱えて登るには良かったのかも知れない。
植林に電柱、大橋ダムから伸びている鉄塔・・・・視覚を楽しむにはイマイチだった。
登山道の脇にはアサマリンドウのつぼみが続いていた。
紅葉には少し早い時期、ムラサキの色彩が楽しませてくれた。

登山道の斜度が上がりはじめた辺りからブナの姿が見えるようになって来た。

太くゴツゴツしたブナではないが背が高く青空に向かって伸びていた。
紅葉した木は見えないけど、マセて赤く色づいた葉っぱが幾つか落ちていた。
ズームアップしてやると周りとのコントラストが映えていい具合になる。
洞窟登山道との分岐までやって来た。
稜線に沿って登山道が続くようになる。樹木の隙間から笹ヶ峰・寒風山・伊予富士・瓶ヶ森・石鎚を横目で見ながら稲叢山山頂に向かって進む。

稲叢山山頂(1506m)
山頂の岩に立つと視界が開け石鎚、瓶ヶ森が見える。一際大きな谷間が吉野川、最源流へと続いている。

祖父と孫が長沢から瀬戸川源流に向かって歩いた尾根はあれか?稜線を辿り程野滝を見たいと思っていたが、樹木に遮られて無理かも知れない。

稲叢山山頂から稲村調整池の湖畔は見えなかった。
後から登って来た地元の登山者に南の登山道は稜線に続いているのかと尋ねてみた。
キッパリ「無い」と云う返事が返ってきた。
薮漕ぎとなれば、往復の時間が足りそうにないので今回は諦めた。機会があれば長沢から二人が辿った道を歩こうかと思う。
キノコ
登山道を歩けば写真の素材には事欠かない。
ブナ・・・・枝に付いた葉っぱが少ないのが気掛かりです。
アサマリンドウ、花は咲かないのかと思っていたら一輪、登山道沿いのつぼみが一斉に咲いたら凄いことになりそうだ。

登山道は沢沿いを通り規模が大きい岩場が多くなってきた。
そして伝説の洞窟、源平合戦で敗れた平家の武士が逃亡途中に立てこもったと伝えられている。
そんな謂われがあったとしても不思議ではない場所ですね。

稲村ダムがなければ瀬戸川源流の最大支流はこの渓の筈、祖父がシコクイワナを釣ったのはこの辺りの流れだったに違いない。四国に岩魚がいたとするならヤマト系でニッコウ系であってはならない。

作者もその辺りは十分理解してようで序文に触れてあった。しかし、どちらが釣れたのか最後まで書かれていない、謎を残しながらの上手い終わり方だ。
スッキリしないからこの場所に立っている。魚が棲めそうな深みを目を懲らして見てみたが魚の気配はなかった。
フィクションなのは分かりきっているのに・・・・。

あれから60年近く経った現代
放流された岩魚がシコクで勢力を拡大しつつある状況を祖父はどう思うのか?

南尾根ルートと洞窟ルートの分岐
ここからだと10分も掛からず稲村調整池湖畔の車道に出る。

遡行データ
 遡行距離7.4km 標高差 380m
 旧登山口-洞窟分岐-稲叢山(1506m)-
 洞窟分岐-伝説の洞窟-洞窟登山口

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