車止めから1時間なんてのはザラ、中には3時間以上歩いてから釣りはじめることもある。苦行のような遠く厳しい道のりを辿る。漸く釣りはじめても滝や大淵、ザレ場や大岩が障害物となって行く手を阻む、そのたびに高巻きやヘツリ・・・・源流釣りと云いながら釣りをしている時間は大したことはない。なぜ、そんなにしてまで源流を目指すのか?
源流の魅力について考えてみました。
四国の中央構造線南側には緑泥片岩を床谷にもつ青石の渓が数多く存在する。落ち込みから広がりと深みを持つ淵は透明な水を透してコバルトブルーに見えたり、樹木の緑を反射してエメダルドグリーンに輝いて美しい。こんな眩しい光景の中で渓魚と戯れることの幸せを感じる。
源流は厳しい場所ばかりではない。規模の大きいナメ床の渓は足先に快い水の流れを感じながらの遡行、不思議な自然の造形と緑のコントラストに心を奪われながら感動を覚えることがある。
自然の恵み
山菜やキノコなどの山の恵みを『山の幸』と呼ぶ、山に感謝を込め『いただく』という気持ちで採取する。 アマゴもまた然り
時には花と遊ぶ
気温が暖かくなりはじめると、冬の重苦しさ撥ね除けるように渓は一気に春めいてくる。アケボノツツジ 本格的な源流釣りシーズン到来を告げる花、桃色の群生を見かけたら竿を仕舞い斜面に取り付く。
原生林の渓に入ると木と木の間隔が広くなり空が明るくなる。やがて樹齢数百年の大樹が目に入る。空を埋めるように枝を張った大ブナ、天に伸びる大ツガ、木の集合体のような大カツラ・・・・太古の昔から続く自然の営みに包まれる快さと畏怖の念、神道で云う八百万の神々が宿るにふさわしい場所です。
アマゴは個性豊かな魚だ
魚体の形や彩り・顔つき・パーマーク・朱点・背中や腹部の黒点・鰭の縁取り・・・・渓の自然条件に合わせて容姿を変える、それは渓が奥まれば顕著になる。源流を詰めその渓の在来種に逢えることを願っている。
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