05真夏の尺上 四万十川水系B川

渓流釣り遡行記2005
渓流釣り遡行記2005 2005/7/23 晴れ
  四万十川水系B川  439道中記  
B川は四万十川水系でも河口に近く、本流出合の標高は50mに満たないのだが、源流部の水線終いは900mで、国有林の伐採を逃れた原生林に囲まれ、清冽な流れを落としている。
全体的には緩い小規模の川でどこからでも入渓できるとあって、鮎やアメゴの渓流ファンならば一度は行ってみたいと憧れてしまう渓流である。
B川へは過去2回釣りに行っている、しかし15年前の釣行は超渇水で釣りにならず悔しい思いをした。
B川源流部に残された原生林、流れる水は澄んで美しい、原生林から下流の水は少し茶褐色に濁り泡立ちが目立つ、伐採跡から染み出るタンニンが原因か?それとも赤い岩が目立つためか?、本流出合いが近づくとまた水は綺麗に澄み切り、美しい流れとなる。
懲りずに次の年も出かけたが今度は大雨でこれまた釣りにならなかった。
最近、B川への入渓者の数も増えているようだし、あまり良い噂(釣果)を聞かない、もう釣りに行く事もないかと思っていたが・・・いろいろあって・・・やっぱりちゃんと釣っておかなければ話にならないと腰をあげることになった。
片道4時間以上かかるため、金曜日の夕方出発の計画で、前日のうちに準備を整えていた、行き付けの釣具屋で餌を調達すれば即出発できる。
B川は標高が低くいので水温も高いだろう、外道の襲撃に備えて徳用箱を2箱買い入れた、ナビに目的地をセットし推奨ルートを選択して出発―つ。ナビの誘導にまかせて南国ICから終点へ、一般国道をひたすら走り続ける、愛媛県に入って道路の情況はすこぶる良くなった、国道看板は197(行くな)と止めるが、もうここまできたら引き返せない、「絶対に明日は釣ってやるぜい!」と徐々にテンションが上がっていった。
再び高知県に入ると道路は曲がりくねり、とうとうカーナビ迷子になってしまった、暫くウロウロしたがE川沿いを下って四万十川本流へ、本流筋を下ってB川出合へ、源流の車止めに到着したときはもうすでに午後11時を回っていた。
 昨年愛媛県側へ所要で来たとき源流の下見をしておいたので、一度源流に架かる橋を確認すると、車止めをどこにしようかと迷うことはなかった。野生の鹿が数頭出迎えてくれたが、原生林の入り口は怪しく寂しい限りだった、ビールと焼酎を流し込み、熱帯夜の中、車のドアを全開にして深い眠りについた。
翌朝、足の痒みとともに目覚める、ふつう原生林と言われる場所に蚊はいないとしたものだが、標高が500mと低いためか両足は蚊に食い荒らされ赤いプップッだらけだ。車から降りようとして少し目まいがあった、蚊に吸われて少し貧血常態か?イヤ飲み過ぎじゃ!。足を掻き毟りながら入渓準備を整え朝飯を作った、早く渓水で患部を冷やしたいものだが、飯を食っておかないと標高差400mの遡行がまっている。
貧しい朝飯 袋入り塩ラーメン、
具は昨夜食い残したキュウリ、
昼までのエネルギーならこれで十分。

キュウリが煮えると同時にガスがプッと切れてしまった、すぐさま麺を割って鍋に放り込んでかき混ぜ、暫くソットしておいたら何とか煮え(フヤケ)てよかったよかった、冬場だったらこうはいかないだろう。

一旦車道を下り源流部入り口への怪しい(何本にも分岐している)入渓ルートを70mほど降りて行くと、右小支流出合の大きな渕に降り立った、谷に立ちこみ足を冷やすと痒みは去った。 早速餌を投入したらモッチー(アブラハヤ、高知ではモツゴ)の襲撃があった、予期はしてたのでそれほどショックはなかった、まもなく5寸が釣れたので安心してゆっくりと釣りあがって行った。

水線の無い左支流は堰堤まで遡行したが、ぬるい谷水がシューズに入り、メチャ汚い沢だった、ヌルヌルの岩を滑り落ちながら出合いに戻った。

左支流の堰堤、浅い堰堤渕には藻が発生していた

再び本流の遡行を続けると堰堤が出現「アジャー こりゃいかんぜよ」とブツブツいいながら高巻くと水が流れていない、全部伏流して川原は乾燥し、時折り吹く風に砂埃が小さく舞っている。

本流筋の堰堤、源流部に3箇所堰堤がある、堰堤の上は土砂で満杯、水は伏流している

上流向いて耳を澄ますと僅かに流れの音が聞こえてくる、朝から気温が高く汗が吹き出てくる、源流で砂漠の行軍か?「こんな事ってアリー」、やっとの思いでチョロ水が見えた、オアシスだ-やったーこれで水が飲めるぜー。

とにかく今は水を飲みたい、流れている水は茶褐色で少し泡立っている、ハッキリ言って汚い、喉がカラカラ(昨夜の焼酎も手伝って)なのに水を持っていない、でも谷の水は勇気をだしても飲めそうにない、こんな偏狭の地で腹痛をおこしたら命取りになるかも知れない(どうも今日は大げさだ)。

上流で土砂崩れがあり、その影響がでているみたいなので、ここは我慢と水無し谷をアエギながら遡行し、左岸の地滑り個所を通過した。滝を高巻き橋を潜ったところで、やっとこさ腹いっぱい水を流し込んだ「うんまーーーいい!!」渓水がこんなにうまいのかー、ヘルメットで汲んで頭からぶっ掛けてオーバーヒートを静め、その場にヘタリこんでしまった。

 

 

源流に架かる橋、原生林への入り口

落ち着いて周囲を見回すと原生林がそこにあった、最近は剣山系の原生林に入り浸っていたので樹木の構成が違うことに気付いた。ここの森には、ツガやモミの中に杉が混生しており、椿などの照葉樹が目立っているのが特徴だろう、いずれにしろ手付かずの貴重な森林が残っている。

B川源流のアメゴ8寸

魚止め近くの6寸

標高700mの小さな滝が魚止めだった、暑さと疲労で気力が萎えて750mの二又まではとどかなかった。

橋から上流の原生林の渓相

撤退は両岸を縫うように赤テープがついていて楽勝で帰還できた、車止の気温は31℃と蒸し暑い、用意してきた激辛ラーメンを作るのはやめた(ガスも無いし)、握り飯をビンビンに冷えた麦ジュースで流し込むと少しやる気がでてきた。

次の谷を模索したが、なにせ南国市までの帰路は156km、長い谷は時間的に無理があるので、B川の支流を釣ってみることにした。用意してきた地図を見ながら本流筋を下った、本流は緩く渕は土砂で埋まって浅くなっている、水量も少なく竿を出す意欲が湧かない。

 

支流は幾つもあったがイマイチ入渓する気になれず、中流の集落まで降りてきてしまった。向かいに谷があるので対岸から覗くと、本流への水量は細いながらも澄んだ流れが見えた。

出合のすぐ下は遊泳場になっているのだろう、大きな渕から大人や子供たちの歓声が聞こえてくる、もしかしたら・・・「水温の低い支流へ避難しているかも?」と対岸のH川橋の袂に車を留めた。

B川支流H川橋

餌を補給して谷へ降りるとやっぱり澄んだ流れがあった、浅いながらもなんとかポイントがあったので流れ込みに餌をいれると細長く大きな魚体が餌を回った、合わせを入れるとうまくヒットした、イダかと思ったがちゃんと朱点のある痩せた9寸アメゴだった。

H川の堰堤渕を上から撮影、
白泡の中から大アメゴがジャンプした。

10秒ぐらいの取り込みだった、体高のある31.2cmの♂アメゴだった、少し崩れた朱点は赤紫色で背中までまわっている、ヌルが強く検寸定規の上で滑って安定しないので手でヌルをスゴくと泡立ち、少し気色が悪かった。

H川の尺上

堰堤を巻いて涸れ沢を暫く遡行し連漠に竿を出してみたが赤ムッチーだらけだった、堰堤の尺上はやはりB川本流から避難して来てたのだろう。

四万十川本流は県外車だらけだった、沈下橋を渡っているとおっさん(渓師会の)から携帯が入った、「34cm釣ったデー、今大豊町にいまーす」、「こちらはなっかむーらでーっす、34cmということは、私は入賞圏外へ脱落ってことですかー(TT)」。

帰りの走行はこれから、鯉を釣るには1日1寸といいますが、今回の尺上の場合、往復312kmの道のりで312mmのアメゴを釣ったので、1キロ1ミリの尺上といったところでしょうか・・・なんてつまらない落ちを考えながら帰宅したのだった。

当日データ 

  釣果:アメゴ24匹 尺上31.2cm  
  キープ:2匹

渓流釣り遡行記2005
渓流釣り遡行記2005一覧  面河川源流 御来光の滝です。厳しい遡行の末、神々しい風景が待っていました。滝壺には魚影はありませんでしたが満足感一杯の遡行でした。今年は、どんな感動が待っているのやら・・・・・

 

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