渓流釣り遡行記2005 2005/3/19 晴れ
吉野川水系閉鎖源流域 Z谷
X川橋から県道を上っていくとすぐに県道崩壊現場がある、昨年の夏から前面通行止めだった。
それと会長が別の支流へ釣行した帰り道に、山越えでわざわざ源流を偵察に行ってくれたのだが、峠にあるトンネルのすぐ下で県道が壊れてひどいありさまになっているとの情報をもらった。
源流部の閉鎖化は徹底されている、歩いてでないと何処からも入れない。
私としては「早く復旧してほしい」という気持ちもあるが、反面これが源流部へのバリケードとなって、よっぽど物好きな釣り人でないと入ってこない、なんだか嬉しく複雑な気持ちになる。
3月17日夜、仕事が終わってから県道崩壊現場へ確認に行ってみると、車両前面通行止めで源流はいまだ閉鎖されている、鉄の矢板を1枚渡して作業員がやっと通れるようにしてある。
昨年9月撮影
県道崩壊現場、残ったアスファルトはオーバーハングしていたので、
右のコンクリート擁壁を高巻いた。
源流の五本指の谷までは勾配のある県道を約4Km歩いて上って行かなくてはならない。
参加者はリュウホウさんとひろっさんとたまちゃんで4名。
集まってガヤガヤと釣行するときは、「何とかツアー」と名付けているので今回も適当にネーミングした。
閉鎖源流歩きツアー」あんましカッコ良くないがまあいいや。
3月19日AM6:30、スーパー駐車場で渓支度が終わった時サチナゲガブ隊が到着、サチナゲガブ隊とはリュウホウ隊長が命名した非公認の怪しい内部組織である。
なかなかまとまりがあるようで、誰かが出陣できない場合は変わり身を出したり、現場に全員で遅れたりで楽しい。
リュウホウさんの開口一番、「お親指の谷へ入るでー、おやゆびへ」、左手を差し出して右手の人指し指で左手の親指を何回も小突いている、かなり気合が入って目が充血し、スギ花粉のマスクがチョット怖い。
「解った、わかりました、それで何処から入るの?」、「本流からいくでー、尺やしゃくが釣れるでー、早く閉鎖源流へ行こうぜい!!」。
国道をぶっ飛ばしていると前方を走るそれらしい4WD車に追いついた、まさかと思いながら付いて走ると国道を外れた、そしてなんと土砂崩れの県道へ入って行くではないか、間違いないアメゴ釣りの車だ、途中の集落に入る小道へ曲がってくれる事を無理に期待したが、とうとうそのまま民家の無い所まで来てしまった。
「閉鎖源流歩きツアー」緊急増員となってしまうのか?、まぁいいや何せ支流が5本あるので何とかなるでしょ、しかし親指谷はなんとしても確保しないと尺を釣れない、「う うううーーん」谷割交渉の糸口を考えながら走っていると、もう一台前方を走る軽トラに追いついた、あれあれまた増員かいな・・・やれやれ。
ところが、まぁ予期はしてましたけど・・・通行止めより下流のWH谷へ4WD車が入って行った「やったぜいこれで1人脱落じゃわい」、残るは軽トラの2人組みじゃ「頼むけんX川へ入ってね」、軽トラは躊躇無くX川橋を渡って行った、「やったー、これで部外者は全員脱落じゃー」、車止めにも他の車はなく良かった良かった。
本流は一昨日の雨で増水したが濁りは綺麗にとれて青々と流れている。
「ふーおつかれさん、他の車が別の渓へ入ってよかったですねー隊長」、「おお親指に入るでー、おやゆびへ、尺じゃしゃくー、439さんは玉ちゃんと小指に入ってよ」と隊長、「解った解った、わかりました、でも親指だけだったら短いですよね、人指しも入り口の良渕を探ってみたら?」。
昨年4月撮影 小指の谷下流部
中指はこれも土砂崩れで埋まっているらしいので県道から上の釣りになるだろう、しかし小指と薬指は遠いなー、魚止めまで行くと車止めへ帰還するのが早くてPM5:00頃になるだろう、親指隊との時間が合わないし、アクシデントがあって暗くなればいくら慣れた山とはいえ危険だなー。
そういえばヘッドランプの電池交換をしていなかったなー、非常食も持ってないし体調も今一、ここにきて弱気になってしまった。
色々考えてもしかたないので、昨年の納竿釣行で入ったZ谷の別支流へとりあえず入り、良くなかったら対面の谷へ入ることで土砂崩れ現場を後にした。
途中20分ほど歩いたところで、閉鎖源流親指の谷へ行く隊長&ひろっさんコンビと別れ、Z谷入り口の神社へお参りしてから少し空遡行、昨年釣った左支流の滝まで釣ってみたが魚信がなかった。
二又でたまちゃんがアメゴを釣ったので、だんだん良くなるかもと右支流を釣りあがった。
渓相は抜群でいいポイントが続出するものの魚信がなく、たまにチビアメゴが餌をカジル程度で面白くない。
砂地には最近の足跡が付いている、それが原因としてもこの魚影の少なさは異常だ、シーズンには車止めに県外車がよく留まっているのを見掛けるが、もう釣って終わってしまったのかもしれない。
2時間釣っただろうか?まだマルカメが続いている、20mぐらいの大滝の下に渕があるのでそこで魚信がなかったら谷通しで帰ろう、今だったらまだ取り返しが付く位置にいる。
渕が大岩で割れているので最初左から餌を入れると5寸が釣れた、右の渕へも瀑風に逆らって餌を投げ込むと、大きなアタリがあったがハリには乗らなかった。
「この渕にアメゴがいるということは上に期待が持てるってことだけど、どうする?上ってみようか?」、「そうですねOKです」
滝の左側に木が生えて楽勝で上ることができた、滝上は一枚床の滑川だったが予想通りアメゴが出だした。
フェルト靴の跡はまだ続いて食い渋るが、魚影が走るのでこのまま魚止めまで行くことにした。
植林が谷に迫ったあたりから足跡が消えた、そうすると8寸7寸とよく釣れだし大物の期待が膨らんできた。
やがて二つ目の大滝に到着、谷がくの字に曲がって瀑布を横から見ながら滝壷に近づく珍しい滝だ。
周囲の断崖の上は天然林の大木で囲まれているが脱出不可能に感じる、ここに立っているのが怖くなるような雰囲気の滝だ。
渕は30畳ほどもの広さがあり楕円形で底は深くて見えない、滝は45度ぐらいの角度で渕に落ち込んでいる、落ち込みから泡切れまで5mといったところか?。
竿と仕掛けを変えることにした、少々の渕ならそのままの仕掛けで対応するところだがこの滝壷は釣り人に落ち着きと丁寧さを要求している、超A級のポイントだが今日は慌てていない自分が不思議だ。
「たまちゃん、昼飯先に食ってから釣る?それとも滝を登ってからにする?、高巻くと凄く時間がかかりそうやね、直登はギリギリってところやねー」。
たまちゃんが正面左横から渕尻を、私が右の落ち込みを狙った、何回か餌を流したが魚信がない、たまちゃんも長仕掛けで対応しているがだめなようだ、落ち込みから泡切れに二人並んで竿を出した、沈め錘のでっかいやつを追加して底を探ったが5.3mの竿丈いっぱいのラインで底をとれない。
落ち込みの向かい側へ落とし込むと、白泡の下に錘が収まったようだ、2回3回と餌を点検しながら粘っていると、軽く竿先をたたくではないか、「おるでーー(^^)」。
餌がミミズなので食い込み加減を確かめようと、少し竿先を上げると「ぐーっ」と引く、8寸ぐらいかなと感じながら少し間をおいた。
もう一度竿先で確かめると「ぐぐーっ」と引くではないか、これはヒットしている、大きく合わせると魚の重さが伝わってきた。
「でか、これはでかい、ううーーーッ重い!」まるで根掛のような重たさだ、竿が大きく曲って06のラインが「キーーーン」と鳴ったはずだが滝の瀑音で聞き取れなかった、リリアンが水面近くまで接近している。
竿で耐えていると一瞬軽くなって底から魚が剥れたが、魚体を見ていないのでまだまだ油断できない、泡切れまで誘導したとき再び落ち込みめがけて引き込んでいった。
今度もメチャクチャ強烈な絞込み、こんな引きは初めてだ、落ち込みの真下へ入られているからか重たすぎる、一瞬「これは切られるかな」と思ったが両手で竿を溜め込み耐えに耐えた。
すると、落ち込みから外れ徐々に魚が浮いてきた、中層で魚がゆらっと傾いて薄白い腹を見せたとき、たまちゃんが「岩魚やー」と叫んだ、それもそのはず40cmぐらいに見えたのだから。
渕尻へ竿で誘導しながらとうとう水面まで持ち上げ空気を吸わせた、その魚体にはハッキリと朱点を確認できた。
検寸して見ると尺一寸(33.0cm)、美しい魚体もさることながら捕食が進んでいるのか体高があり良く肥えた♀だった。
「いやーすごく大きく見えたので岩魚かと思いましたよー、それに竿があんなに曲がるの始めて見ました、折れるかと心配で・・・いいもの見せてもらいました、凄かったー」、ちょっと興奮さめやらぬ様子で我が事のように感激しているたまちゃんだったのだ。
そんなに感動してもらって私も嬉しいです\(^O^)/ヤッター♪
昼食の後、滝の右側を直登して源流部へと入って行った、植林が迫って手入れも行き届いているようだ、人の入った気配がするが魚の出具合は良好だった、きっと山師の気配だろう。
水線終いの二又まであと1時間ぐらい釣れそうだったが、山道が交差して撤退を促している、時刻は2:00撤退に2時間はかかることだし迷わず納竿とした。
ジカメを忘れて釣行したのが残念でたまらない、後日滝の写真を撮りに来る事にしよう、もちろん釣りも兼ねて。
20分喘いで林道に這い上がった、1時間30分かけて県道経由で車止めに帰還するとワイパーにメモが挟まって、「たばこが切れたのでスーパーで待ってます、連絡下さい3時16分」と書いてある、釣りの結果については触れていないので、よくなかったのは確実みたい。
勇んで行った谷で駄目、しかたなしに入った谷で爆釣ってある話ですよね。
待ち合わせのスーパーで合流、リュウホウさんは朝より花粉症の症状が悪化した様子、マスクをしているので聞き取りにくいが「癪や、癪やー」と聞こえたのは私だけでしょうか?。
同行者:たまちゃん
釣 果:二人で50匹 最大尺一寸(33.0cm)
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