四国の山歩き 2025/11/3 荒天⇒晴れ
源流テンカラ師からオフトレ山歩きのお誘いがあった。
亀尻峠-牛の背-天狗塚-西熊山ピストン
「それは無理やわ。」
天狗塚登山口-天狗峠-綱附森-天狗塚-牛の背-亀尻峠-天狗塚登山口を縦走したことがあるけど、それは過去の話・・・・老いぼれ爺のオンボロ足が壊れてしまうじゃないか
天狗塚登山口-天狗塚-西熊山-北尾根の紅葉見物に山歩き計画を修正して貰った。
一週間前好天だった天気が怪しくなってきた。
天気はWindyのMeteogramが雲の高さの変化が視覚的に見えるので分かりやすい。MSM(気象庁モデル)は回復傾向、ECMWF(欧州モデル)は小雨で風が吹く予報、今年は気象庁モデルの予報が当たる確率が高い
てんきとくらすは気温がマイナスになって20mの風が吹く、これはチョット大げさすぎるようで無視した。
登山口と稜線で雲の傾向が変わらないので、登山口に着けば天気の予想ができそうだ。
Google Earthによる3D遡行図
遡行データ
日時:2025/11/3 7:40~17:20
標高差:670m
登り:1057m
遡行距離:9.9km
Start
天狗塚登山口(1140m) ⇒7:40
P1476 ⇒9:00
稜線分岐 ⇒10:50
風裏 ⇒11:05
天狗塚峠 ⇒12:00
お亀岩避難小屋 ⇒12:50
西熊山(1816m) ⇒14:30
車道 ⇒17:00
天狗塚登山口 ⇒17:20
Goal
※山行途中で写真・動画撮影しているので遡行時間はアテになりません。
遡行地図
ヤマレコ 行程地図と標高グラフ
天狗塚登山口
風が吹きなかなか明るくならなかったけど青空が見え始めたので登り出した。登山道入り口に紅葉がチラホラ見えて期待ができそうだ。
急な登山道を境に左は植林、右は自然林に分かれている。疎らに色づいた木も見えるが全体として青っぽい。
P1476で一息入れる。
近くのオオトチは葉を落としていた。
地面に笹が見え始めると一旦緩んだ傾斜が再びきつくなる。紅葉が賑やかになってきたのはこの辺りから、紅葉前線のピークは標高1500~1600mだろう。
樹木が疎らになる場所にも紅葉が残っていた。3年前に来たときは1週間ほど早かったのに枯れ木だったのになぁ。やはり、今年の紅葉前線下降は1週間以上遅れている。
樹林帯を抜けると見通しが利くようになる。正面は、近年有名になった落合集落、山の対面に展望所ができている。
祖谷の下界は晴れ渡っているようだ。
周囲がガスに覆われ、冷たい風が強くなり底木樹氷ができていた。
樹氷の写真を撮っていたら下ってきた登山者が、「稜線は風が強いから気をつけてください」とアドバイスをくれた。
どんなものか? 取り敢えず稜線まで様子を見に行った。
立っているのがやっとのもの凄い風がメッチャ冷たくて耳がもげてしまいそうだ。稜線に出たら吹き飛ばされそうなので手前の『三嶺-天狗塚』分岐指標だけ写真に収め、逃げるように撤退を決意した。
標高100m程下った風裏に腰を下ろした。
「一時はどうなるかと思った、山の天気の急変って渓より怖いですね」
源流テンカラ師がボソッとつぶやいた・・・・全く同感だ。精神的に擂り潰された感じが漸く落ち着いた。
祖谷の下界には晴れ間があるようだがガスに覆われたり取れたりを繰り返していた。ガスが取れている時間が長くなってきたけど牛の背下からガスが吹き上がり稜線が見えない。
しばらくすると祖谷の下界が晴れ渡り、祖谷山系の稜線が見えるようになった。西方面の山々もクリアーに見渡せた。
風裏の上に立てば天狗塚が顔を出し、下りに使う西熊山北尾根の紅葉が現れた。
山の厳しさに心が折れた後、山の女神が微笑んでいるようだった。稜線の上空はガスに覆われているが、下界の晴れ間は稜線まで上 ってくるのは時間の問題だ。
さぁ、どうする?
行くしかないでしょう。
標高差100mを稜線まで登り返す。
笹の斜面に樹氷をまとった低木が美しい。山歩きは景色があれば楽しいものになる。
稜線から見た天狗塚と陽が当たった谷道川源流の紅葉
ここで計画変更、まだ少し強めの風が吹いているので天狗塚のピークハントは諦め、西熊山北稜線の紅葉に重点を置くことにした。
綱附森に向かう小ピークの北斜面の樹氷がきれいだった。
個人的には天狗峠から見た天狗塚が一番カッコイイと思う。
三嶺から見た西熊山はこんもりとした丘に過ぎないけど、天狗峠から見た西熊山はゆったりとカーブしながら標高を上げていく様が美しく、奥に三嶺を配しているところも素晴らしい。
渓筋が変わりカンカケ最源流の紅葉
紅葉に陽の光が当たると彩度が鮮やかになり錦絵のようだ。細い稜線、時折強い風が吹くから踏ん張りながらカメラを構えてて写真を撮るのは結構疲れる。
お亀岩避難小屋
風が強くて飯を食う気がしなかったのだけど小屋の中は快適で先のことを考えないで長居をしてしまった。剣山から牛の背まで4つの避難小屋があるけどお亀岩避難小屋が最もきれいで設備がも整っている。
西熊山に向かい登り始めた。
山歩きに青空は何でもない景色でも映えてしまう。
天狗塚から下ってきた対面の斜面
三嶺から牛の背まで快適な稜線の中で最も歩きにくい道になる。稜線通しにこだわらなければ、北に延びている笹稜線から回り込めば改善できそうに思うのだがね。
西熊山山頂(1816m)
傾斜が緩くなってから、山頂はまだかまだかと結構長かった。
天狗峠の奥に天狗塚
祖谷山系 ピダミダスな黒笠山の後ろにガスが掛かった矢筈山
高知沖の太平洋まで見通せた。
標高が高い三嶺の山頂はガスが流れ込み、取れそうで取れない。
「もう少し、もう少し・・・・」
10分くらいは待っただろうか?
でっ、シャッターチャンス!!
心残りなく下山することができた。
西熊山の山頂から少し戻った笹原に一筋の細いラインが北尾根の分岐
バリエーションルートなのにヤマレコが「分岐注意」の音声アナウンスをしたのは驚いた。まだ、樹氷が残る樹林帯の奥に横目で三嶺が見ながら歩けるのは素晴らしい。
白骨林が目立ちだした笹原の奥に白骨林と葉をつけた針葉樹が並ぶ森
笹原も樹林帯だったのか?などと考え始めると異世界に迷い込んでいるような気がした。
ゴロゴロ岩にビッシリ苔が張り付いたゾーン
最初は傾斜の緩い北尾根から登ろうと云っていた源流テンカラ師、いくら傾斜がキツくても登山道があるとないではシンドさが全く違うと諭して天狗塚登山口から登ることにしたのだが、苔の斜面まで下ったところで『北尾根は登りに使えない』理由を理解してくれたようだ。
多様多種の巨木、次から次に変わる風景・・・・オレ好みの揺る尾根だわ。もっと、じっくり時間を掛けて写真撮影を楽しみたいのに下山時刻を気にする時間になってきた。
実に勿体ないなぁ~
来年の紅葉撮影ロケ地候補に記憶しておこう。
揺る尾根を下るのは尾根分岐が難しい、
実際に迷いを誘発するような分岐がいくつもあったけどGPSの軌跡と尾根筋のズレを確認して修正すればなんとかなる。
P1354の手前でオンザラインの赤テープが現れたので、「ルートは合っている」と思い込み赤テープに従うと尾根を外してしまい小ピークの三角点を拾うことができなかった。
赤テープは古い車道まで案内するものだった。理由が分かれば車道から続きの尾根に回り込み事なきを得た。赤テープを信じ込み何も考えなくなるのは極めて危険な例である。
荒天が転じ樹氷と紅葉を同時に楽しめる最高の山歩きとなった。
こういう経験は無駄にならないだろう。
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