渓流釣り遡行記2005 2005/6/25
徳島の谷
徳島の谷
序文
439さんから、誘いの電話があった。
頭の中は仕事で目一杯、とても釣りにいくきぶんになれなっかた。生返事で・・・
「でっ、どこへ行くんですか?」
「A谷の源流・・・・・去年の台風で 林道が通行止めなっとってなぁ・・・・たぶん誰もいかんやろうけん、魚がうじゃうじゃおるでぇー」
「ええ話やなぁ・・・どの辺から通行止め?」
「林道が下りはじめたところらしいで・・・・入渓点まで4kmくらいかな」
それやったら、誰もいかんなぁ・・・・待ち合わせは何時?」
「仕事するんじゃないんかい」
「そろそろ、息抜きせんと気が狂いそうやったんや・・・」
A谷源流
最近仕事が立て込んでいて、どうにもいけない。11時過ぎに家に帰ってきて飯やら準備やらで家を出たのは12時前になってしまった。高速に入ると眠気が襲ってきた。立川SAで15分ほど仮眠を取ってから待ち合わせ場所の南国に向かう。・・・我ながら元気だ。
南国からは439さんに運転を代わってもらってA谷源流へ、少し眠らなければならないと思うのだが久しぶりの釣行でテンションが高い。15分の仮眠が効いたのか目がさえて仕方がない。国道から林道へ、しばらくするとダートに変わった。ガタゴト、ガタゴト余計に眠れない。カーブを曲がると鹿が数匹表れる。車のライトに照らされて一目散に逃げてゆく・・・何匹鹿を見ただろうか10匹20匹・・・いやいや50匹以上はいただろう。
やがて通行止め予定地点に差し掛かる。
「ありゃ通行止めは解除されているみたいですよ」
ブルで押されて柔らかいダートが続く 解除されたのは最近らしい。
「1時間歩かなくていいのは嬉しいけど・・・渓は大丈夫かいな」ちょっと心配
結局、通行止めは入渓地点まで100mのところだった。1時間程仮眠を取ってから出発した。
気持ちの良い谷だ
渓は明るく空けている。
5.5mの竿が目いっぱい振れる。
入渓してみると、足跡なし、渓は荒れていない。原生林の素晴らしい渓が続く、しばらくして8寸が出た。魚影は濃いとはいえないが適度に楽しませてくれる。
アマゴ 8寸(24cm)
なかなかパワフルな引きをしてくれた。
岩と岩の間、落ち込みの中から引き出した。
439さん
上流の二又で439さんと別れた。439さんが左支流、私が本筋を釣り上がる。
大滝が近くなってから渓は傾斜を増してきた。去年の台風の影響だろうか大きな立ち木が渓を塞いで遡行に苦労する。大滝の淵も流木で半分位塞がっていた。大きな期待をもって大滝を攻めたがアタリすらなかった。
大滝の落ち込みを狙う
大滝を高巻いてさらに上流へ
傾斜のきつい登山道を経由して大滝の流れに出る。渓の規模は小さくなったが原生林の渓が続く 下流の良淵を覗き込んでいた439さんが
「でっかいのがおるきん 静かに・・・・」
「・・・どこに居るんですか・・・・」
「そこの落ち込みの岩んどこや・・・・」
指差す方向を覗き込んだが水面が波立っていて何にも見えない。しかし、この親父の目は凄い。水中にいるアマゴの姿が見えるらしい。見えるアマゴの前に餌を送り込み誘っての釣りだ。
淵の上からそっと餌を放り込む。上を向いているアマゴにとって竿先が丸見えなので完全に不利な状態だ。 一瞬、439さんの竿先曲がったような感じがした。
「よし来た。・・・・・・しもうた。ちょうっと早すぎたぁ・・・・」
それから、何度か餌を送り込んだ竿先が曲がることはなかった。
私が知っている限り、A谷は四国で最も高所にアマゴが棲息する渓だ。以前、大滝で釣ったアマゴが私のとっての最高所の記録(1400m)となっている。滝上にアマゴの生息を確認したため最高所の記録更新が遡行の目的となった。
何度かアタリがあって合わせを入れたが針掛りしない。・・・・『記録更新!』プレッシャーに弱いらしい。そうこうする内に水量が殆どなくなり標高1500m もはやここまで敢え無く納竿の運びとなった。
上流の良淵
439さんは、デッカイアマゴを見たらしい。
A谷の魚止め(高度1500m)水量が殆どなくなってしまった。少し下でチビアマゴを確認したが、もうこれ以上は無理だろう。
ここで納竿した
納竿してから、439さんがデッカイのを逃した良淵まで帰ってきた。
「滝上までの下流やってみる?」
「そういや下はやてなかったな・・・・・まだチャンスが残っていたな」
少し下り始めて岩の上から落ち込みの深みに餌を送り込むと小さなアタリがあって大事に合わせると針掛り6寸程のアマゴが宙に舞った。
少々高度は下がってしまったが待望の最高所で釣ったアマゴの記録更新となった。
四国の最高峰が石鎚山で2000m弱だ。今回の釣行でアマゴを釣った場所は標高1450mだが標高1500m近くの場所でアマゴの棲息が確認できた。これは『凄い』の一言だ。改めてアマゴという魚の生命力の強さと浪漫を感じずにはいられなかった。そしてその生命を育んで止まない原生林を大切に守っていかなければならないと思うのであった。
岩上から落ち込みを狙う
小さなアタリガあって待望の針掛り
標高1450mアマゴ
記録更新などどうでもいい
こんな高所まで棲息する生命力に「凄い」の一言だ
滝上の林道から下流を撮影
ここは貴重な原生林の渓だ
いつまでも大切にしたいものだ。
当日データ
二人の釣果50匹 最大24.0cm
二人の釣果50匹 最大24.0cm
渓流釣り遡行記2005
渓流釣り遡行記2005一覧 面河川源流 御来光の滝です。厳しい遡行の末、神々しい風景が待っていました。滝壺には魚影はありませんでしたが満足感一杯の遡行でした。今年は、どんな感動が待っているのやら・・・・・
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