渓流釣り遡行記2004 2004/4/3
徳島東部水系 海部川源流
序文
3年前9月の終わりに海部釣行を計画したことがある。その時、漁期を確認すると9月15日から禁漁となっていたため已む無く海部釣行を断念した。 その後何度か釣行を計画したが海部川は遠い・・・・地形図から想像するに渓相は緩そうだ。長い時間をかけて出かける価値があるのだろうかと思っていた。
先週、四万十川からの帰り道439さんと
「来週、何処に行きますか?」
「今度は、西の方だなぁ」
「西ねぇ・・・・前々から行こうと思っていたんだけど海部川なんかどう?」
「海部かぁ 下のほうは釣ったことはあるんだけど・・・・・海部川行きますか」
「四国の西の端からから東の端までまで・・・・西奔東走ですね」
「それをいうなら東奔西走じゃない」
こうして海部行きが決まった。そうなると大勢の方が楽しい、四国渓師会掲示板で海部源流釣行を募集したところ私と439さん、淳さんの源流3馬鹿トリオプラス1のKEIZOUの4人となった。439さんは、室戸周り、我々3人は徳島周りで、それぞれ海部源流を目指した。午前2時前に待ち合わせの二又に到着、439さんは既に着いていて仮眠をしていた。
439さんを起こしてから四国渓師会恒例『車止め宴会』がはじまった。
「源流3馬鹿トリオ+1じゃ ちょっとネーミングがわるいなぁ」
「大酒のみ4人衆ってのはどう?」
「オォーーそれいいじゃない・・・・・ゲップ」
「ところで渓割りはどうする?」
「俺、右支流が面白そうや」と439さん
「俺は、右支流行ったことがあるから本流がいいな」と淳さん
「ワシはプラスワンだから、ちょっと遠慮してどっちでもいいよ」とKEIZOU
「ホンじゃ、わたしゃ本流にしようかな」
439さんとKEIZOUが右支流、淳さんと私が本流へ行くことになった。
KEIZOUの持参した超特大の焼酎に4人衆は、完璧にほろ酔い気分
3時を過ぎたところで宴会終了(焼酎がなくなった)
淳さんと私は、朝、誰かに抜かれたら困るので、しばらく林道を車で走って地図で目星を付けておいた小尾根の広いところに車を止めた。本流への降り道を確認して深ぁーい眠りに着いた。
海部川源流
目を覚ますと辺りはすっかり明るくなっていた。慌てて入渓の準備に取り掛かったが、焼酎が体中を駆け回ってスローペース・・・・・漸く準備が整った頃、下から軽トラが上がってきた。話を聞くと鹿取りの老猟師二人 どうやらライバルではなさそうだ
「あんたら釣かいな?・・・・香川からそらご苦労なことで・・・・」
「ここから渓へ降りれます?」
「その調子じゃ、昼までかかっても無理かも知れんぞ・・・ワハッハハハハ」
「まぁ、きーつけてな」
完全に、二日酔い師弟コンビ・・・・完全に見透かされていた。
枯れ草の急な斜面を下りはじめた。渓まで、まだ200m程の高度だ。二日酔いで覚束ない足が枯れ草で滑って、3mほど転げ落ちた・・・・・・
「イタたたタァ・・・老猟師の忠告を素直に聞いてたらよかったな」
転げたショックで漸く正気を取り戻し、腰を伸ばして、ふと立ち木の中に目をやると林道が見えた。
「師匠、横に林道がありますよ」
「ラッキー♪」
急な林道を利用して約30分で渓底に辿り着くことが出来た。(昼まではかからなかった)
枯れ草の急斜面を下る。
足が滑って3m程転げ落ち、二日酔いから正気に戻った。
渓は5~10cm水量が上がっていた。透明感あふれる鮮烈な流れがそこにはあった。湯桶丸を隔てて南川の源流域を少し小規模にした印象だった。ただ釣れてくるアマゴは6寸、大きくても7寸ギリギリといったところだ。しばらく、平坦な本流域を遡行すると二又に出くわす。水量はほぼ同じ、地形図では二又手間までの車道が水線を越えて伸びているとの情報があり迷わず、左支流を選択した。
落ち込みに仕掛けを入れ、
白泡が切れたとこでアタリ
掛けたのは手前の岩向こう側
滝越え
渓の流れがほぼ直角に曲がっていた。両サイドの壁が急に狭まり陰湿な廊下となり、いやぁな感じがただよってきた。先を見上げると険悪な滝が姿を現した。
「やばいな、どうやって高巻きしようか?」と思っていると滝の右側に『お助けロープ』が2本垂れ下がっていた。
「ラッキーやな、これがなかったら相当の高巻きやなぁ」
「こりゃ、この渓には専門家がいるなぁ・・・・・でも、感謝!感謝!ですね」
『お助けロープ』の安全性を確かめて難なく険悪な滝を越すことが出来た。
しばらく遡行すると広い川原状の渓相から壁が見えた。壁から一筋の流れがあるようだ。近づいてみるとデカイ 25mいや30mの大滝が師弟コンビの行く手を阻んだ。とりあえず滝つぼを探ってみたが6寸クラスのアマゴにしか出合うことが出来なかった。
さてこの滝をどう巻くのか????? 左は壁が立ちはだかりどうにも無理!淳師匠が「ちょっと待っててね」と滝右横に取り付いて登りはじめたが『×』サイン・・・・次に私が少し戻って滝横のガレ場を少し登って滝横を平行移動する作戦に出たが行く手を阻まれて『×』サイン・・・・そこから少し戻って淳師匠が木の根っ子を頼りに垂直に10m程登り平行移動、取り残されたわたしは小さな落石をヘルメットに受けながら師匠のOKサインを待つ(落石から逃れる場所がなかった)漸く師匠からのOKサイン(^^♪
師匠と私のストロークの差を感じながら木の根っ子をほじくり出し支点を確保してほぼ垂直な斜面にしがみ付いた。それから平行移動・・・・・ただ 、ひとつ間違えがあれば滝つぼのなかにドボーーーン嫌が上でも慎重になる 。高巻けば巻くほど凄いことになってくる戻ることも出来ない・・・・・・久しぶりに泣きながら命がけで釣をしている感覚に襲われ喉がカラカラになっているのを覚え て木の根っ子にしがみ付きペットボトルのお茶で喉を潤し少しずつ前進した。
そして3m程の下降がどうにも嫌らしい!大滝は越えているので落ちてもどうってことはないのだが下降する手がかりがない。
「どうやって降りたの?」と下で待つ師匠に聞いた。
「ここをこうやってね。ちょいちょいとね・・・・」
うぅーん。。。。どうしても確信がもてない。ロープを取り出し下降することにした。
険悪な廊下の中の滝
ただ右の壁にお助けロープがあったのでラッキー
遠くから見る分には
「支流の落ち込みかな?」と思っていたのだが
だんだん姿がはっきりするにつれ恐ろしくなった。
命がけの高巻きとなった
とんでもない急斜面を平行移動して来た。
木の根っ子に命をあづけました。
大滝を越してようやく8寸(24cm)
命がけで滝を越えたのに・・・・ちょっと不満
中央の落ち込みの中を泳いでいるのを見つけた
少し上に餌を投げ入れるとパクリと来た。
本流左支流の、また、左支流
まだ水量はあるのだが魚は止まった。
命がけで越した滝を過ぎると小さな落ち込みで漸く8寸が出た。命をを掛けてしまった滝越えだったので少々不満は残る ・・・・尺クラスが乱舞してもおかしくないのに・・・・・。
そこから少し遡行すると、渓は二又に分かれ左支流に入った。左支流も高度で50mほど遡行したが魚は止まってしまった。昼飯をほおばり少し休憩した後、左支流と右支流の間の小尾根を登り植林帯に入った。植林帯から車道のガードレールが遥か上に見ることが できた。
ただ植林帯も長く続かず、右支流まで降り小尾根を越えて最短ルートのとんでもない急斜面の小渓ルートから車道を目指した。納竿地点から1時間半、漸く車道にたどり着いた。
ここから車止めまで1時間半、右支流に 行った二人が迎えに来てくれるのを待ちわびながら永遠と車止めまで歩き続けける師弟コンビであった。
車道までの最短ルート
小谷筋を車道まで登りつめた。
情報どおり車道は水線上まで伸びていた。
車道に出て一服
車止めは遥かかなた
車道を、約1時間半歩き続けた。
当日データ
釣果20匹(キープ無し) 最大24.0cm
淳さん(20匹)
渓流釣り遡行記2004
渓流釣り遡行記2004一覧 魚止めを求めて源流を彷徨う。滝を高巻き、杣道を辿り、遡行を続ける。流れがある限り魚は棲む・・・一体、何処が魚止めなのか?それなら源頭を目指してさらに遡行を続ける。たぶん、さっきの小滝が魚止めだったのか・・・・驕り...
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