渓流釣り遡行記2005 2005/9/29
四万十川水系 439道中記
四万十川水系 439道中記
四万十川支流K川源流の国有林に、日本最古(藩政期以来)と認定された複層林があるとの情報を目にしたことがあった。
複層林とはなんぞや?ということになると全く無知であり、説明のしようもないのだが、植林を50年ぐらい毎に2段階以上で植付けて管理している森林のことらしい。
保水力があり、地力維持、山崩れ防止機能、昆虫類,鳥獣類も豊富、という説明の一端に興味をもってしまった・・・ようするに「アメゴがおったら太そうじゃのう」という単純な釣り人の思いつきなのだ。
前日、四国の雨量実績を調べてみると、四万十川水系には暫く降っていない(多分減水状態)、徳島南部から室戸にかけては最近まとまった雨があったようだ、当日の朝まだ西か東か迷っていたが、やっぱり以前から気になっていた複層林の渓へ行くことに決めた。
K川橋の袂に観光案内用の看板が立っていた、右支流の山が”複層林と山椒魚”の山らしい、「フムフム なっ・なにーっ! さっ 山椒魚おーーっ!!」もしかして凄いことになるかもしれないと、ドキがムネムネしてきた。
四万十川水系らしい蛇行したK川の流れに沿って源流へと上っていった、幾つかの集落を過ぎると両岸が切り立ってゴルジェになり、また川が開けていよいよ目的の上流二股の尾根が見えてきた。
入渓点、
谷はヒッソリと静まりかえり渕は砂利で埋まって
モツゴ谷の様相だ・・・う うーーん。
谷はヒッソリと静まりかえり渕は砂利で埋まって
モツゴ谷の様相だ・・・う うーーん。
右支流沿いにも林道が延びているが、谷底まで断崖に近い斜面を100mぐらい下降しなくてはならないようだ、万一遡行不能になったときは谷通しも考えられるので、左支流の根元にあるD滝の駐車場を車止めとした、これなら地図上の道があるので分かりやすい。右支流は地図で見る限り二股から入るとすぐに水線切れになっているが、左支流よりずっと長いし流域面積も広く水量も多そうに見える。
今日はとりあえず右支流を先に釣りあがり、ダメなら尾根越えで左支流へ入る計画で、二股下流50mへと植林の中を下降した。
早速餌を静めるとやっぱりモツゴだらけだった、期待していた二股に渕はなかった、右支流はすぐにゴルジェで入り口に大きな渕があったが、モツゴと赤ジャコの嵐だった。
10mぐらい上に古い山道の石積が奥へ延びて高巻きは簡単だった、しかし次の降り口と上り口のセットがなかなか見当たらず、かなり飛ばしてしまった。
最大の良渕だった
7寸が立て続けに3匹釣れた。2匹目が釣れる時まで尺2寸ほどの大アメゴが餌の争奪戦に参加していたのにヒットしなかった、残念。
それからは良渕が適度に現れ8寸9寸が混じってよく釣れた、渓相もすこぶる良くなって遡行がキツくなってきた、もう既に”複層林と山椒魚”のことは眼中に無く、厳しいV字渓谷の中で撤退路を探すのが精一杯だった。
二段の滝を高巻くと突然鉄の堰堤が現れた、それまでの美しい渓相からしてかなり意外な感じがした。
本日最大二段の滝(5m×2段)下段の渕で8寸
中段の渕には丸太が突き刺さっておいでおいでしていたので下降してみたが、魚信はなかった。
堰堤周辺で山道をしばらく探したが植林の中にも見つけることができなかった、渓の水量はまだまだ十分あり魚も切れていない、右150m上には林道が延びて来ているはず、最奥まで遡行すれば林道が跨いでいるかもしれないと前向きに考えてみる。
しかし、もうこれだけ釣ったら十分、深追いし過ぎるととんでもないゴルジェへ閉じ込められて泣きが入るかも、林道へ這い上がっても途中で崩落していたらどうなる?。
タバコに火を付けて、谷通しか?林道撤退か?しばらく考え込んでしまった、入渓点の標高は300m、現在位置は400m、高低差100mを遡行するのに4時間もかかっている、林道と谷が交差しているなら600mあたりの標高だろう、単純に計算するとあと8時間も遡行しないと林道が跨ぐまで到着しないことになる、まさか釣りをしないで遡行するのは考えたくない。
運良く右側に山道を見つけて林道に出たとしてもかなりの時間がかかってしまう、やはり今上ってきた谷筋を撤退するのが時間的には早そうだ。
四万十川中流域のこの辺の山は遠目には穏やかな印象だが、一度深く谷へ分け入ると砂岩や泥岩系の渓谷が深く切り込まれて落石の銀座である。”複層林と山椒魚”にはまだ出合っていない、源頭近くまで遡行しないと無理なのかもしれない。
納竿点の渓相
まだ水量は十分で両岸も穏やかな個所だがこの奥にゴルジェが待ち構えている。潔く撤退にかかった。
撤退は途中植林の手入れ用のトレース道を偶然発見したので思ったより楽に帰還できた、車止めからは右支流の最奥部は見えなかった。
気温は33℃と秋分の日とは思えない暑さである、木陰で昼飯を食っていると軽トラがとまって同年輩のオジサンが「山かよー?」と気さくに声を掛けてきたので「はいそうです」。
話からしてどうやら営林署の職員と間違えられたらしい、魚篭が転がっているのを見て始めて、「何処からきたぜよ?、こんなくまでアメゴを釣りにー?」、と釣りに来ているとわかったようだ。
南国市から来たことを知ると、軽トラから降りてきて長い話になった、「どんなんがおったぜよ?」どうやら山よりも釣りの話に興味があるようだ、「アユはやらんのかよ?」アメゴ釣りより四万十川本流の鮎漁がお勧めのようでもあった。
そして、鉄の堰堤の上まで行ったことを話すと、右支流のアメゴの秘密を詳しく教えてくれたり、堰堤は1つしかない、その上まで行ったのなら右上の林道へ上がった方が帰りが楽だったとか、左支流は水が少ないので大きく育たないなどと、よそ者のわたぐじなのに大変親切にしてもらって感謝です。
今回は”複層林と山椒魚”の撮影はできなかったけれど、確かな手ごたえを感じてしまった、次回は尾根越えルートで入渓して、核心部から源頭まで行ってみようと思う。
当日データ
釣果:アメゴ36匹 max29.5cm
キープ11匹 新規開拓
釣果:アメゴ36匹 max29.5cm
キープ11匹 新規開拓
渓流釣り遡行記2005
渓流釣り遡行記2005一覧 面河川源流 御来光の滝です。厳しい遡行の末、神々しい風景が待っていました。滝壺には魚影はありませんでしたが満足感一杯の遡行でした。今年は、どんな感動が待っているのやら・・・・・
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