キョウツカ谷の尺岩魚 四国の渓

渓流釣り遡行記2006
渓流釣り遡行記2006  2006/6/11 曇り
  四国の谷  439道中記
今週は土曜日に所用があり日曜日の釣行となった、土曜日の昼過ぎには暇になったので釣り道具の手入れを済ませ、早い晩飯を食ってPM4:30に床へ着いた。
尿意で目覚めると点けっ放しのTVがワールドカップを放映している、「最後まで諦めない」という監督の言葉にほだかされて結局最後まで試合を観戦するはめになり、寝むれなくなってしまった。
AM2:30に出発、待ち合わせのコンビニに到着し仮眠しているとJUNNさんが到着、食料を買い入れクネクネの酷道をひたすら車留めをめざす、いつもながら釣りの往路は遠く感じてしまう。

AM5:30車留めに到着、少し遅くなって心配していたが先行者はいなかった、本流を挟んで対岸を縫って這い上がる急峻で短い支流が見える、あれが大岩魚が棲息すると言うキョウツカ谷なのだが、実はJUNNさんも私も今日が始めての釣行なのだ。

JUNNさんの話では本流筋は岩魚の放流魚でアメゴは釣れないらしい、キョウツカ谷は何十年も前に岩魚が棲息しているのを一部の釣人が確認したらしく、「四国の天然岩魚か?」などと興味深い話題を醸し出した谷であるとのこと。

私の持論としては “もともと四国に岩魚は生息していなかった”と一途に信じているので、一体どんな岩魚が棲んでいるのか大変興味のあるところだ。

出合の少し下流へ下降すると本流は土砂で埋まり伏流ぎみの頼りない流れだった、しかし先行者の足跡はしっかりと付いている、なんだか厳しい釣りになりそうだ・・・(ゲンナリ)。

出合の堰堤でJUNNさんが粘っているのを上から見ていると、竿が大きく曲がってなかなか魚が揚がってこない様子だ、オッこれはデカイな!と思った瞬間、弓なりの竿が直線になりJUNNさんが空を見上げた、「グヤジィーーーーーー!!!、今のはデカかった、絶対尺あったでー(TT)」とメチャクチャ口惜しそうだ、「チャンと見とったからね」。

粘るJUNNさんを尻目にキョウツカ谷を先行するが魚信が無い、滝を巻いたところで今度はJUNNさんが先行する、交互に滝を巻上がるが、釣果はJUNNさんが三番目の滝で釣った7寸岩魚1匹のみと サッパリ。

巻道はハッキリとしており良く踏まれている、毎週釣人が入っているって感じでズルズルである、おまけに昨日と見られる生々しい足跡が上って降りている「こりゃだめじゃわ、これだけ釣れんかったら何所が魚止めか分からんやんか(TT)」と諦めモードになってしまった。

しかし、ここからわたぐじ達は ひ・つ・こ・く 粘いのだ、この踏跡が人工の要塞となって最奥部に魚が守られていることに期待しつつ、一方では谷替えも視野に入れながらの魚信無し不安遡行をあえて無理に続けた。
 そして本日最大の難所に到着、JUNNさんが渕に竿を出している上を左に高巻いてロープを垂らすが底まで届かないので元に引き返した、JUNNさんが巻いた右側の岩を滑り落ちそうになりながら後を追うと、滝の上で待っていてくれた。

ここからはゴーロ場と連漠でポイントが小さく大きな渕がなくなった、魚信のほうも相変わらず サッパリ。

「こりゃほんまに魚がおらんぜよ」と完全に諦めモードだが、いかにも魚の居そうな渓相に誘われて奥へ奥へとズルズル遡行を続けた、ほんまはもうとうに魚止めこえてるうんじゃないーーの?いやいやこの渓相と水の色、絶対おるで・・・・・ 

小さな落ち込みの渕へ餌を落とし込むと小さな魚信があった(あっ!アタリや)、アワセを入れると底で力強く曳くではないか、「う うううーーーん こーれは岩魚じゃ」竿で溜め込むと暫くして魚が浮いてきた「やっぱり岩魚がおったーーーー(^^)」、検寸すると8寸(26cm)あった。

8寸が出た小滝の渕

岩魚8寸

 



 

どうやらあの難所(難所と言っても大したことない)辺りから期待どおり足跡が消えて、やっと浅い渕でも6寸前後の岩魚が走るのを確認できるようになった、魚影はかなり薄いがチャンと岩魚が居るじゃないか、これは面白くなったと遡行に力が入ってきた。

仕掛けを直していると、突然上流から「オーーーイ」と大きな声がした、振り向くと薄暗い渓の真中でJUNNさんが検寸定規をこちらに突き出しているように見えた、なにふざけとんかいなと思いながら良く見ると魚じゃないか、「なにっ! サッ サ カ ナ ―――――――――」。

作りかけの仕掛けをそのままに駆け寄ると・・・じゃじゃじゃーーーーーーーーーーーーーーーーーん、完全な尺岩魚じゃんかーーーそれも雄やんか、凄い!!。

今まで見てきた岩魚とは違って地肌がグリーンバックである、「メチャクチャカッコイイやんかー」、「凄いねーやっぱり居ったんやー」、「そうやねー」と歓喜溢れて涙がチョチョギレる寸前だった。

JUNNさんが釣った尺岩魚(35.7cm)

<JUNN記>

2時間近く1回のアタリもないまま遡行を続けている。ほんま久しぶりのアタリやった。小さいアタリやったし、そんなにでっかい奴ではないと思うんやけど、なかなか魚が浮いて来ない。
右側の岩の下に潜ろうとする。今まで岩の下に潜られて切られた事を何回も経験している。 「これはヤバいんちがう?岩の下に入られたらもう終わりや!」何とかせないかんけど、魚の引きが強烈すぎて耐えるのが精一杯。「うわ~、岩の下に潜られた。終わりや・・・。」 その時、奇跡が起きた。何でかよう解らんけど、魚が岩の下から出てきた。一気に勝負をつ けようと竿を立てると、ついに魚が見えた。「うわ~でかい!ひょっとして尺あるのとちがう?」さあどうやって取り込もうか?玉アミを出っしょる間に、もう1回潜られたら逃げられそうやし、一気に岸に引きずり上げる事にする。最後の最後に外れた事を、今までに何回も経験している。最後まで緊張した。

・・・とりあえず取り込みに成功。急いで手で魚を押さえようとして一瞬ひるんでしまった。「尺イワナやと思とったのに、とんでもない化け物イワナや!」 とりあえず魚を押さえて、思い っきり石で頭を叩いた。・・・「ふ~、終わった。」

検寸定規を取り出す。検寸定規は36cm。このイワナは35.7cm。まさに「検寸定規サイズ」のイワナやった。

尺岩魚の出た源流二又下の渕

源流二又を左に釣り上がるとなかなか良い渕があった、底でヒットしたので竿で耐えたがなかなか揚がってこない、竿が曲がり切って魚が浮いたがえらく小さく見える、「玉網で掬おうか?」とJUNNさん、「えいわ小さいもん(スネスネ)」、しかしどこにハリがかかっているのか?ぐんぐんと落ち込みへ曳き込んで行く、「こりゃあかんぜよ、竿が曲がりきっちゅう、すまんけんど掬うて(願)」、「ハハハそうやろ」と取り込みに成功。

検寸してみると9寸(28cm)のメスだった、「尺2寸近いのを見たら、ほんま小さく見えるもんじゃなー」やはりグリーンバックの魚体が木漏れ日に美しく輝いていた。

その後、8寸が出た後6寸の魚影を最後に魚信が暫く途絶え、左支流の魚止めを確認することができた。

魚止めの渓相

二又まで撤退して右支流に入るが、水量が少なく魚影が無かった、ここぞと思う渕で粘ってみたが音沙汰がなかった。

一気に本流出合いまで撤退、途中で熊脅しの鈴を発見「これ着けとく?」、「そんなん着けとったら付いてくるで」・・・鈴が砂利岸に着地する音が背後に聞こえた。

帰り道、ジャガイモの花が咲いていた

在来種なのか?四国外からの放流の末裔なのか?私たちには判別する知識も経験もない。だけども、この渓の岩魚を見た瞬間何ものかが背筋を走ったような、人が近寄ってはならない山の神秘を感じ取ってしまった、たぶんもうあの渓へ足を踏み入れることはないだろう。

帰りに黒滝小屋に寄り岩魚を炙った、家に持ち帰り「○×で釣れた凄い魚やき食って長生きして、あつかましいこといいよりや」。

「そりゃ孫にくわさにゃいかん、こんどくるまでおいちょきや」・・・やって。

当日データ
  釣果: (二人でキープ):アメゴ1匹、岩魚6匹
  岩魚max35.7cm
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