四国の渓流釣り 源流釣り入門

  四国のブナ分布 石鎚山系


四国の渓流釣り

 



 源流釣りは山奥深い深山幽谷が釣り場、魚止めを探り更に奥へ分け入る。
 人工林の暗く単調な植生とは対照的に自然林の渓間は明るく多種多様な植生が現れるので釣ってて気持ちがいい。自然林を代表する木は何と言ってもブナだ、特に大ブナは姿形が美しく神々しささえ感じることがある。ブナは天然のダムと呼ばれ山に降った雨を根元に蓄え、渇水時期でもジワジワと供給するので水が切れることはない渓間は自然の豊かさが保たれる。また、そこに棲むアマゴは植生や地形の多様性を引き継ぎ、その渓独自の個性豊かな個体となる。よって『山が豊かであれば源流域も豊かなのだ』 渓流釣りシーズンオフのオフトレとしてはじめた山歩き、登山道や稜線からブナの群生を目にすると嬉しくなりそこから続く最源流域の流れはどうなっているのか?、どんなアマゴが棲んで居るのか?を想像してしまう。

 源流釣りや山歩きで確認した四国のブナ分布についてまとめてみた。
 
 四国のブナは中央構造線南を東西に連なる四国山地に多く分布している。
 四国山地は東の中津峰山辺りから剣山系・石鎚山系・四国カルスト・西の鬼ガ城山系へと続く

石鎚山系のブナ分布

 剣山系と石鎚山系の境界は吉野川と徳島、高知県境が接する場所です。
 黒滝山-笹ヶ峰-石鎚山-皿ヶ嶺、石鎚山-手箱から南に延びる稜線、赤石山系の標高1500mを越える稜線の周囲、あるいはその稜線から派生した支稜線や主尾根の周囲にブナが自生している。

四国中央山稜のブナ

 黒滝山から赤石山系分岐まで愛媛・高知・徳島県境の稜線には多くのブナが自生している。
 中でも四国の大ブナの代名詞となっている大座礼山の大ブナは存在感がある。
 また、稜線から南に延びた奥工石山-白髪山稜線のブナ林も素晴らしかった。
 この稜線は背丈以上のスズタケに覆われて歩き難いがブナ探索で縦走路を繫げたい場所だ。
カガマシ山のブナ
空けた荒れ地に疎らに大ブナが立つ姿は何とも形容しがたい
佐々礼尾山の東にブナを中心とした深い原生林が広がる
大ブナの駄場
大ブナの駄場の東
三つ足山の北緩斜面に大規模な大ブナの群生地があります。
大森山西の大ブナの群生
急斜面を登り切った先に大ブナの光景を目にする。
岩黒山の八方ブナ
岩黒山の窪地にブナの群生地
大座礼山の大ブナ
山頂南側の緩尾根に大ブナが自生している、北尾根には次世代の候補が数多く立っている
平家平西のブナ稜線
フォレストハウスに下る登山道はしばらくの区間ブナ林を楽しめる
奥工石山ブナの原生林
白髪山ピークから奥工石山へ延びる稜線にも大ブナが群生している。

赤石山系のブナ

 瀬戸内海から急激に立ち上がり標高1500m以上の山々が連なる赤石山系、別子銅山の燃料として伐採や煙害によって丸裸になり現在再生中であるが百年足らずの歳月では低木が生えるに止まっている。山林を破壊するのは一時的であっても気が遠くなる程の長い時間を掛けないと自然は元に戻らない教訓となっている。 低木しか生えない稜線だが伐採するに忍びなかったのか僅かばかりのブナを目にすることがあるが嘗てはブナの群生があったことが想像できる。
峨蔵越にあるブナ
低木しか生えていない西赤石山
春にはアケボノツツジが山肌をピンクに染まり自然林が再生中

笹ヶ峰-石鎚山-堂ヶ森のブナ

 赤石山系分岐から石鎚・二ノ森に掛けての稜線は標高1800m以上の嶺々が連なる。稜線は森林限界を越え殆ど笹原となっているが両サイドの斜面には沢山のブナが自生している。源流域に目を向けると谷川・加茂川・吉野川源流・面河川源流といった四国北西部を代表する名渓が存在している。何れも長く厳しい渓となっているが深い原生林の中でアマゴと戯れることのできる貴重な場所だ。
笹ヶ峰
南斜面の笹原が切れた場所からブナの群生を目にする。
 
寒風山の南稜線のブナ
稜線のブナは風雪に耐えることで独特の容姿を身につけている。
自念子ノ頭-西黒森のコルから谷川源流に続く渓筋
この豊かな自然の営みが加茂川の凜々しいアマゴを育んでいる。
瓶ヶ森を源とする吉野川最源流 白猪谷
原生林の明るい源流を釣り上がれば渓師にとって至福の時が存在する。
西日本最高峰 石鎚山天狗岳
山頂近くの岩場に貼り付くように四国最高所のブナが密かに自生しているらしい。
今度登ったときじっくり探して見ようと思う
堂ヶ森 西稜線にあるブナ
太い幹から四方八方に枝を伸ばす姿は青空とのコントラストが映える。

岩黒山・筒上山・手箱山のブナ
 
 石鎚登山口の土小屋から南に延びる稜線は原生林となっており沢山のブナが自生する。
 稜線近くまで原生林が迫っているので紅葉狩りには最適である。
 多くの登山者は石鎚を目指すが原生林の森を身近に感じたいならこっちがお薦めだ。
岩黒山トラバース道のブナ林
筒上山 北稜線のブナ
手箱山ピークに向かう登山道のブナ

その他のブナ分布

大川嶺

 大川嶺・笠取山南斜面のブナ群生林は素晴らしい。
 渓筋を埋めるようにブナが林立している。
 もう少しアマゴがいれば・・・・車道から近いことを察すれば仕方ないことか?
 深緑の原生林の源流に迷い込んでしまえば、そんなことはどうでも良くってしまうから不思議だ。

鬼ガ城山系

 鬼ガ城山系の高月山-三本杭-目黒鳥屋が四国のブナ分布の南限とされている。
 何故こんなところに・・・・と思われるかも知れないが筒上山で分かれた稜線が四国カルストを経て南に続く延長線上にあることを知れば納得できる。また、その先に続く篠山でブナを見たとの情報があり四国百名山めぐりで篠山を登る際は確認したいと思っている。
八面山北斜面のトラバース道に気持ちがいいブナ林の空間がある
 
 三本杭から南に延びる稜線 目黒鳥屋手前のブナ林

大滝山
 大滝山は郷土讃岐で唯一ブナが自生する山です。
 大滝山から城ヶ丸までの稜線から北斜面の植林が出来ない急斜面に数多いブナ林がある。
 また、讃岐最高峰の竜王山にもブナが数本あると云う噂なので探ってみたいと思っている。
 


 渓の雑学 バックナンバー

四国の渓魚放流状況(2018)
2018/3/1 

2018年『四国の渓魚放流状況』を更新しました。

2018年度傾向
  ・土居町内水面漁協が去年放流魚を確保できなかったため
     4月以降に放流するそうです。
  ・物部川⇒大幅放流減 高知は全体に放流減となっています。
  ・那賀川⇒放流増加傾向

四国の渓魚放流状況を深読み
2017/02/23 

2017年『四国の渓魚放流状況』を更新しました。
    ⇒四国の渓魚放流状況 
去年から、放流量が全期間(35年分)だったのを10年間に変更した。
これは、アマゴの寿命やページの見やすさを考慮した結果です。
ただ、見やすくなったか?と問われれば数字の羅列だけなのでそれなりですね。

大滝を前にして
2017/02/15 

大滝を前にして「越えるか」「撤退するか」を考えることがある。
頭の中は『滝を越えれば桃源郷になるかも知れない!!』が支配する。
実際に、滝を越えるとバカ釣れになったり大物が釣れることを何度も経験している。 いや、いい思いをしたときの記憶は何時までも残るので、思ったほど回数は少ないのかも知れない・・・・

釣れなくても満足できる渓
2017/02/14 

黄金週間 泊まりがけで釣りに出かけた。
1日目を終えて、相棒と2日目は何処の渓に入るのか相談をして大体まとまったところに「あんたら、釣りかい?」と宿の親爺が加わった。宿に入ったときから気になっていたが、口ひげを長く伸ばした仙人のような風格の親爺だった・・・・



見釣りは面白い
2017/02/13 

 『見える魚は釣れない』と云う格言
 こちらから見えているなら向こうからも見えている。
 正真正銘の魚眼なんだから、水面を透してかなりの広範囲が見えているらしい。見られてしまったら警戒心を抱き捕食行動に移らないことが多い 「スレてやがる」なんて吐き捨てながら次のポイントに移動するしかない・・・・