四国の渓流釣り 渓流釣り遡行記(2001年度)
    奥義酔釣  祖谷川支流B谷 

四国の渓流釣り

 2001/3/24 

 5時30分過ぎ、最終集落から長く延びた林道と谷が交差する車止めに到着、相変わらずひどい林道だった。まだ、ハンドルを握っていた手に振動が残っている、「これじゃ普通車は無理だろうな・・・・・」と思いながら釣りの準備に取り掛かった。
 今日の谷は、国土地理院の地形図を頼りに釣りを始めた頃、2度ほど来たことがある。1度目は、上流の二又までにかなりの数を釣っていた。「あと少し釣ってみよう」と左又を釣り上がった時、直線距離で100mにも満たない区間で9寸混じりの7〜8寸が乱舞し釣堀状態を経験した。しかし、釣堀状態が終わった場所から上の大伐採が少し気にかかった。それでも、翌年夢よもう一度で、再び出かけたが、殆どの淵に、大伐採の土砂が流れ込んでいて釣果も貧果終わった。それ以来土砂に埋まった渓として気にとめることはなかった。あれから7年以上経っている、渓はどうなっているのか最近、少々気になりだした。
 林道の橋上から、渓を覗き込むと少々砂で埋まっているものの、土砂は無いようだ。魚影も確認できる。

 橋下から釣りあがると初めての淵でいきなり8寸のお出向かえ。
 

アマゴ24.1cm
釣り始めていきなり8寸が釣れた
朱点がハッキリしてない、放流物?
まさか、こんなところには放流しないでしょう
いずれにしても、完全に天然化している。
広葉樹の葉が落ちて開けた感じの渓になっていた。

右上の写真の中央上に見える滝上の淵
ここから上は、滑床状の淵が連続する。素晴らしい渓だこの滑床状の川底が土砂を取り除いたのか。
自然が持つ回復力に驚かされた。
 釣り始めて、落差のある淵が連続する場所は、快調に釣れたが、少し緩くなりだした所からポツリポツリとしか釣れなくなった。やがて新しい足跡が現れた。
 「抜かれた覚えもないし、昨日ぐらいかな・・・・ちょっと厳しい釣りになるかも」
 しばらく行くと「月桂冠箱パック」が足跡のそばに落ちていた。
 「ラッキー、酒のんじゃったのね。酒を飲むと集中力が緩慢になるから、そのうち釣れだすな」とおもった。
 少し釣り上がると、封を切ったばかりの煙草が水際におちていた。
 「ほら、ほら、もう少し・・・・・」
 しかし、なかなか連続して釣れるようにならない。
 陽が差込み、暖かくなってきたため、最終集落へ水を引き込んでいる取水上の淵で早めの昼食とした。標高900m、影の部分では、まだ残雪が残っている。
 

左上の写真
  傾斜は緩いが適度の落差がある。

休憩した場所に、二つ目の箱パック
かなり、酔いがまわっていると思うのだが・・・・

酔釣?
 
休憩した場所に、二つ目の「月桂冠箱パック」があったことから、爆釣の予感がしたが、事態は全く好転しなかった。むしろ、悪くなる一方・・・・全くアタリがなくなった。
 もしかして中国拳法の「酔拳」 酔えば酔うほど強くなるあれ。その「酔拳」から枝分かれした「酔釣」 酔えば酔うほど釣技が冴えるってやつじゃないのか????? などと、くだらないことばかり考えながら釣っているから余計に駄目である。

 やがて、左からの支流があり2段の滝になっている。しかし、この滝でもアタリがない。

酔釣敗れたり!
 「まてよ、酒に酔っているならこの滝は登るのは無理だなぁ」
 「このままじゃ状況が変わらないし、駄目で元々 わたしゃ源流釣でいきますか」
 高さ25m、斜度のかなりある滝斜面の立ち木に取り付いて滝を高巻いた。
 滝上は、水量が少ないがここも滑床状の川底で、深みはあまりない(深いところで20cm)が、畳2,3枚程度の淵が幾つか形成している。アマゴは、うじゃ、うじゃいる。大きめ(6寸〜7寸)のアマゴが淵にいることを確認して餌を振り込む、すぐに餌に反応して針掛りする。あんまり簡単に釣れるので馬鹿らしくなり(型が小さいってこともあるのだが)竿をしまって魚止めの確認を行った。本流の出合いから高度にして120mの二又で魚止めとなっていた。こんな種沢あるB谷は魚が絶えることはないだろう。そっとしておきたい沢である。

 アマゴ7寸
完全天然、綺麗な魚体である。
畳3畳ほどの淵、水深は20cmに満たない。
型は小さいがアマゴはうじゃ、うじゃ、といる。
そっと、しておきたい種沢である。

 支流から、帰ってきてしばらくして、大岩の上から淵を攻めているときに、岩が動いているような気がして、慌ててバランスを取った。「浮石かな?」と思ったが、こんな大きな岩が浮石の筈はないと思い直した。そのうち渓全体が低い振動音に包まれた。かなり長い時間だったような・・・「地震かな?」と思い直した。その後、なんともなかったので釣りを続けた。
後でニュースを見てビックリ
 「広島県、震度6 愛媛県、震度5 大きな被害もでているらしい」
 「えーーーよくもまぁ無事で帰ってこられたもんだ」
 そのとき初めて、顔面蒼白、事の重大さを気づいた次第です。

 上流で渓と帰りの林道が交わるところに、またしても「月桂冠箱パック」これで3合目、昨日B谷を釣った人は、「酔釣」の相当な使い手、それとも、ただの大酒のみなのかはわかりませんが、飲んだ後の後始末をしないのはいただけませんね。

 
釣果46匹(キープ5匹) 最大24.1cm