9月15日 S谷源流                      メインページへ  メインページへ  


 2ヶ月ほど前からS谷源流を今シーズン最後の渓にしようと思っていたが、先週から居座っている台風14号の影響で各地に大雨警報がでている中、釣りができる場所はやはり、源流部くらいだろう。それも、自然林の渓となればS谷源流部しか思い浮かばなかった。
 S谷源流部は、今まで釣ってきた四国の渓流の中で最も好きな谷の一つだ。源流部の入り口に高度100m程の連瀑帯があり、それより上流は原始からの自然林が残っている。以前、春先に雪が残る中を釣り上がったとき真新しい大きな足跡が斜面に続いていた。「熊?」それから後の恐怖感は今でも覚えている。今でもあの足跡は熊(ツキノワグマ)だと思っている。それと山ワサビの群生が一面にありワサビを踏みながらの釣りとなる。ただ、アマゴの数は少ないのが難点だが、釣れなくても気分のよい渓だ。

 朝駆けで、家を出て吉野川沿いを走っているときは雲の隙間から月明かりが差していて、本当に大雨警報?と思えたが、月明かりから見える吉野川は相当水かさが増しているようだった。やがて支流の道に差し掛かり外灯で照らし出された川面は、濁流が渦を巻いていた。「これで本当に釣りができるのか?」心配になってきた。林道に入ると激しい雨がフロントガラスをたたき前方が見難い状態になってきた。尾根の反対側の渓(入渓点の高度がほぼ同じ)にかかる橋で様子を見るために車を止めた。「やめるのも勇気」と上流をみたが「これなら何とかなるかもしれない」と釣りたい感情が勝り、尾根越えにルートをとった。

 準備を整えアプローチの林道を歩き始めた時、雨は小康状態になっていた。林道が崩れていてまだ薄暗いため迂回ルートを発見できなかったためそのまま渓に下ることにした。連瀑帯よりかなり下流を下降したようだ。渓は、圧倒的な水勢があったが、笹濁状態で数は限られるが餌を投入できるポイントは残っていた。一投めからアタリがありチビアマゴが手元に飛び込んできて上々の滑り出しとなった。連瀑帯までに8寸前を何匹かを釣り上げて雨が激しくなると写真をとることもできないので8寸には満たないが写真をとった。
 連瀑帯の前の淵は岩で埋め尽くされていて餌を投入したがアタリはなかった。気をとりなおして連瀑帯を登りはじめた。晴れた日は気持ちがいいが雨の日のシャワークライミングは、どんどん体温を奪っていくので斜面の木立にとりついて連瀑帯をやり過ごした。連瀑帯の上からは渓はゆるくなるがこの水勢だ遡行するのもかなり苦労する。身震いしてしまいそうな水流のなか足で水深を探りながらの遡行となる。淵尻から8寸を追加した直後から雨がまた、激しくなり濁りが入ってしまった。自然林の保水量を完全にこしてしまったか?
 やがて、大きな中州(川が2つに分流)に到着、この中州は一面山ワサビが群生している。中州から魚止めの滝まで山ワサビが群生してワサビを踏みながらの贅沢な釣りとなる。
 源流に近づくにつれて水量も減り濁りもとれ釣りやすくなってきたが、交差点(支流が両方から流れ込んでいるところ)から、全くアタリがなくなる。私の釣技が悪いにしても、川は普段より増水している状態の中全くアタリがないのはおかしい。以前の釣行もそうだったが、やはりこれより上流に魚はいないのか。魚止めの滝の上流を確認したが魚が出ないまま納竿となった。今日は雨で今一だったが納竿点付近の風景が気に入っている。

 来たときよりも水量が増していて帰りは苦労したが何とか無事車止めに戻ってきたが頭のテンコツから爪先までびしょ濡れの一日だった。
 


釣果26匹 最大25.0cm

 

      

雨のため早めに魚を写して起きたかった。
アマゴ23.0cmと22.0cm 完全な天然ものである。
落ち込みの左岸に流れが緩くなっている部分から
増水のためポイントは限られてくるがアマゴの活性は高い

      

8寸(25.0cm)水流も加わって強い引きだった。
撮影のため木立の中に入った。
この直後から雨が強くなり濁りが入り始めた。


         

S谷最源流部の魚止めの滝、実質は30m下にある二又の滝が魚止めの滝と思われる。
しかし、これより高度50m下の交差点からアタリは止まっていた。
写真では解りにくいが滝の周り一面に山ワサビが張り付いている。
必要な量だけ持ち帰るのが渓の掟である。

    

気に入っている最源流部の風景
原始の昔から続く自然林だ
苦労して源流を詰める理由の一つは、この風景に出会うためかもしれない。
雨さえ降っていなければ写真を撮りまくるのだが残念だ

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