崩落谷のアマゴはどうしてここに居るのか?

渓流釣り遡行記2019
2019/7/13 曇り/雨

度重なる水害で源流部が崩落した渓
渓の両斜面は削り取られゴツゴツした岩肌が剥き出しになり何処から転げ落ちてきたのかとんでもない大岩が渓の真ん中に鎮座していた。こんな状況が何処まで続くのか?最源流部まで辿ったがアマゴの棲めそうな淵は埋まりアマゴが泳ぐ姿を見ることはなかった。また一つ有望な渓が消えてしまった・・・・それでも本流を釣り上がったついでに荒れた源流に竿を出す釣行を続けているとチビアマゴが針掛かりするようになった。こんな酷い状況になっても生き残りが居るのかとアマゴの生命力に驚いた。しかし、砂も溜まらない淵底に定住するのは難しいだろうと思っていた。

去年、崩落谷で大物が掛けたのは想定外の出来事だった。
『崩落谷のアマゴはどうしてここに居るのか?』 小さな疑問が生じた。
生き残りのチビアマゴが餌の少ない源流で急に大きくなるとは思えない。本流から登って来た・・・・どんなに増水したとしても出合の大滝は越えられない。誰かが放流した・・・・道もないこんな荒れた場所に大物を放流する奇特な人がいるだろうか?卵放流するにしてもパーマークと朱点が大人しすぎる。
だとしたら支流の存在が気になりはじめた。何年か前に支流の入り口も釣査した。大きなガレが積み重なり渓の流れが埋まっていた。その先を見ると斜面が可なり長い距離で崩れていたので「支流もダメなのか・・・・」と烙印を押したが斜面の崩落現場の先は確認していないから何とも言えない。


前置きが長くなってしまったが本日の目的は先に書いた支流の魚止めを釣査する。ただ、空振りになってしまう可能性が十二分にあるので下流から釣り上がることにした。
下流の支流
偶に小さなアタリがあるのに針掛かりしない・・・・俺的にはチビアマゴが餌を喰いきれないで遊ばれているだけだと思っているのだが、相棒は2ヶ月のブランクで腕が落ちたことにしたいらしい・・・・漸く6寸を掛ける、弛んだラインを上げたらアマゴが喰いついていたって感じなので、やっぱ腕が落ちているのだろうか?
支流の流れにしては抜群の水量なのに1尾しか釣れない。魚止めまで詰めたとしても結果は変わらないだろうと途中で本流に引き返した。



本流も抜群の水量と云うか梅雨の長雨の水が引かず多すぎるくらいだ。
白泡の中に仕掛けを放り込み激流の弛みを流し白泡の切れた場所で出たアタリにバッチリ合わせを入れたら8寸(24cm)を掛けた。

次に大石が流れを2分した実績がある落ち込みで9寸前(26.5cm)
だんだん、いつもの感覚が戻って来たぞ!!腕が落ちたとは云わせない。



相棒のテンカラは水量の多さに手こずりながらも小気味よく毛鉤にアマゴをヒットさせている。この水量だから大物は底に沈み白泡で水面を流れる毛鉤が見つけにくいのだろうと思っているとランディングネットが出ていいサイズのアマゴを取り込んだ。側線に沿った魚体の中央が薄いピンク掛かった美しいアマゴだった。



上流の支流に入る。
ここは原生林の渓、いつ来ても素晴らしい源流の流れが待っている。天気予報は曇りだったが時折小雨がパラついてくる。晴れていればと最高だと思うが少し靄った原生林もなかなかのもんだ。水量が多いので大物を期待していたが7寸止まり、まぁ適度に釣れてくれたので良しとしよう。


大滝を越えて崩落区間を通過する。
大ガレの積み重なりは少し片付いたような気がするが荒々しい印象はぬぐえない。初めて訪れたときは原生林の大枝に覆われて薄暗い源流だったことは俄に信じがたい。やはり近年になっての雨の降り方は異常としか思えない。
9寸(27cm)を掛ける。
崩落谷は確実にアマゴが戻って来ている。淵底に砂地が滞積し隠れ家となる大岩も沈んでいるのでアマゴが定着するのも時間の問題だろう。


さて、支流の釣査に入る。
入り口のガレを乗り越え斜面の崩落現場をやり過ごすと素晴らしい原生林の渓となった。先ずは
相棒が7寸を掛けた。淵毎とはいかないが良いペースでアメゴが顔を出してくれた。この支流が崩落谷の種沢になっているのは間違いない。
『崩落谷のアマゴはどうしてここに居るのか?』小さな疑問の仮説に従い行動を起こした結果が現実のものになった喜びは大きい。


相棒のテンカラが8寸を掛けた。
後ろで見ているとラインの弛みが引っ張られた瞬間にピッシッと合わせ入れたら竿が大きく曲がるとアマゴが浮いて水しぶきを上げる・・・・一連の動作がメチャカッコええやんか。
相棒はこの8寸に満足したのか良淵を譲ってくれた。このコンビで相手に良淵を譲ると何かが起こるのが常なのをお忘れですか?

白泡の中に仕掛けを入れ手前のカケアガリまで流れたところでモゾモゾとした小さなアタリを合わせきれない。チビ助が餌の先だけ突っついているのか?ラインがゆっくりと落ち込みに向かい動き出したときもチビ助疑惑を持ちながら軽く合わせたら竿先が引き込まれ淵底を走り回られた。「スレか?」この場に及んでも疑いを拭いきれず強引に浮かせたらメチャ太い魚体・・・・「尺あるんじゃない!」大事に行こうと思っていたら渕尻に突っ込まれ低い段差を1段落ちたところの浅瀬にズリ上げた。この体高なら尺1寸近くあるだろう思っていたがどうも長さが足りなくて29cm、得意の泣き尺だった。
『なんでやねん!』


泣き尺を見た相棒はがぜんやる気を出し上流を詰めたが直ぐ二又に分かれアマゴが棲めるような場所がなくなり泣き尺の淵が魚止めだった。

いろいろあって5月から釣りを自重している。
9月の禁漁まであと何回か行ければいいのだけどね。

遡行データ
釣果:20尾 最大:29.0cm キープ1 遡行距離16.0km 標高差330m

コメント

タイトルとURLをコピーしました