渓の回復力

渓流釣り遡行記2015
吉野川水系  2015/4/28 晴れ
この水系で一番好きな渓だった。
特に落葉樹が芽吹きはじめる時期、淡い若葉色と底石の青色が映り込んだ清い流れのコントラストが実にいい雰囲気があり年に1度は通う渓だった。
もう10年以上前のことになるだろう。釣友が入渓すると土砂に埋もれて釣りにならなかったようで「もう、あの渓はダメだろう・・・・」という報告があった。大雨で上流の支流2本が尾根から崩落した土砂が流れ込んで渓を埋めてしまったようだ。その話を聞いて、別の渓から釣りの帰りに渓の入り口まで見に行ったが渓の両岸にはもの凄い量の土砂が高く積み重なっていた釣友が言うように、この渓で釣りが出来るようになるには相当時間が掛かるように思い釣りには出かけていない。
数年前、上の車道から渓の様子を見に行った。1本の支流は土砂止めの工事が終わっていたが、もう1本は、まだ索道が張られて工事は進行形のようだった。
もう工事も終わっているだろう。渓はどうなっているのか? 
30分歩いて入渓
何もなかったような穏やかな流れだが底に積もった砂の量が多く深みが少ない。河原の石は、もっと苔が付いていたよう気がする。アマゴは5から6寸が遊んでくれる。渓にアマゴは戻っているようだ。

暫く遡行すると大水が出たときの爪痕 7m以上の土砂が岸に積もっていた。(上の写真)
渓には10基以上の俺の知らない新しい砂防エンテが出来ていた。ここは5基の砂防エンテが連続している。砂防エンテは満杯状態・・・・渓は分断されて、もはや釣り場はエンテ淵しかない。平成24年竣工のプレートがあった。3年もしないうちに満杯になる砂防エンテに意味はあるのか?

砂防エンテ帯を抜けて渓の流れが戻った場所で8寸(25cm)が出る。大岩の下から影が走り餌を咥えた。

1つ目の崩落現場と2つ目の崩落現場の渓相、1枚岩の急峻な流れる場所では本来の姿を取り戻していた。
やがて2つ目の大規模な崩落現場、植林がゴッソリ持って行かれている。(左の写真)渓沿いの大木、下を抉られてもしっかり強靭な根を張って頑張っている。(右の写真)
原生林を切り倒し貧弱な根しか持たない針葉樹を植える。一度、崩落して災害が起きれば「治山」といいながら多額の費用を掛けて砂防エンテを作り渓を壊す
この国の林業施策はこれでいいのだろうか?

崩落現場を越えて源流域に入る。渓は本来の姿を取り戻し気持ちが良く竿が振れる。


いいアマゴが出た8寸(26cm)
パーマークが大きく朱点が少ない、昔通っていた頃の懐かしい姿をしている。

凄い大水が出たのだろう。源流域も荒れた場所がある。右の写真の原生林があるなら、人の手を加えなければ復活するだろう。この素晴らしい最源流の風景をいつまでも残しておかなければならないと思う。
釣果:35尾 最大26cm キープ7尾 遡行距離18.1km 標高差400m

コメント

タイトルとURLをコピーしました