源流の風景

源流釣り入門

早期の源流は広葉樹の落葉で明るく空けている。標高の高い場所でも陽が当たる向きによっては雪が少ない渓がある。殺風景な世界だが少しずつ春に向かう源流の様子が覗える。竿を思いっきり振ることができる快さがいい

盛期の源流は木々が枝を広げた葉に覆われ深山幽谷の雰囲気が堪らない。渓間から漏れてくる光は柔らかく下界の猛暑からは想像できない快適な空間だ。辿る時期が変われば同じ場所でも目に映る印象は全く異なる。どちらいいのか?と問われれば盛期の源流に魅力を感じる。いや、早期の源流も捨てがたい・・・・


厄介な大滝が現れる。
滝壺に大物の期待と大高巻きの不安が入り交じる。難解なルートを解き明かし滝上に立てば大物を掛けたときの悦びに近いものがある。


美しい淵に出逢う
透明な水は底石の色や深みによって複雑な濃淡を映し出す。落ち込みや岩壁のコントラスト、周囲の植生と相まった風景。次第に心が引き込まれ、自然の優しさに包まれていくような感覚がする。


大木が渓を塞ぎ小さな滝となる。
岩から落ちる水の流れとは違った柔らかい美しさを印象付ける。偶然が積み重なった自然の造形美を目にすると足を止め深く記憶にとどめたい思いに支配される。


苔生す源流
湿気の多い渓は気持ちがいい。多様な植生も同じことを思っているのに違いない。


自然と同化した木橋を渡る。
人里離れた場所を好むのが源流釣りなのに人工物を目にすると安心感を感じずにはいられない。


源流アマゴは凜々しく美しい。
渓の特徴に合わせて容姿や色使いを変え個性豊かな魚になる。在来種に近いアマゴに出逢えたなら、長く厳しかった遡行も報われる。


ブナの原生林を持つ源流は素晴らしい
樹々の間隔が広く明るい森、下草や笹が地面を覆っていれば最高だ。この間隔にはどんな自然界のルールがあるのか?不思議な世界。雨水を蓄え少しずつ放出する天然ダムの役割を持っている。良い源流には良い原生林の存在が関わっている。


神が宿っているようなカツラの大樹
何百年も生命をつないできた力強さが圧倒的な存在感を示している。遡行の安全を願い、ヘルメットを取り頭を垂れることもある。


魚止めを越える。
もう魚は居ない寂しさよりも、最後まで成し遂げた満足感で一杯だ。いやいや、まだ遠い帰り道が残っている。


渓を脱出するために詰めた最源流の二又、水量の少なさに渓魚が居ない現実を認める。


原生林と笹の尾根を下るエスケープ道
夕暮れが迫る中、足早に歩くことを求められる。本日の釣りを振り返ることも必要だが、次はどの渓へ行こうか?なんてことも考えはじめる。これも含めて源流釣りなのだ。


 

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